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「グローバル化」時代の母乳育児:平和と公正のために WABA2003

Index
「グローバル化」時代の母乳育児:平和と公正のために
wbw2003乗り越えるべき課題は何でしょう?
貿易協定
不適切な販売流通
非常事態における乳児の食べ物
環境
HIV/AIDS
遺伝子組み換え食品
だれが「WHO規準」を法制化してきたのでしょう?
「グローバル化」によって生み出されるチャンスとは?
行動するための手段
活動中の母乳育児運動
ネットワークと情報源
情報源


乳育児は、平和と公正のシンボルです。

母乳育児は自然に、普遍的に、平和に子どもを育てる方法なのです。不公正や暴力や戦争で世界が苦しめられているとき、母乳育児が平和の監視員になることができるのです。内なる平和や他の人との平和、環境との平和の。

アンウォー・フェーザル WABAとIBFANの共同設立者「ライト・ライブリフッド賞」受賞者

訳注「ライト・ライブリフッド賞」:「もう一つのノーベル賞」「暮らしのノーベル賞」ともいわれ、人権、平和、環境などで優れた市民活動に対して贈られる。

「グローバル化」とは、遠く離れた場所と場所との社会的なつながりが世界規模で強められること、と定義されてきました。例えば、地域で起こることが、何マイルも離れたできごとに影響を受けていることや、逆に、地域でのできごとが、何マイルも離れたところへ影響を与えるといったことを意味します。

ジュディス・リヒター 『企業に責任を問い続けて』

乳幼児を母乳で育て、母乳に加えて(半年から)適切な母乳を補う食べ物(離乳食)を与えることを保護し、推進し、支援することは、「グローバルな」母乳育児運動の目的です。

2003年の世界母乳育児週間(WBW)のテーマ――「グローバル化」時代の母乳育児:平和と公正のために―― は平和と公正のシンボルとして母乳育児を推進するにあたって、「グローバル化」の利点とそれによって引きおこされる障害について考えてみるよい機会を提供することでしょう。

全世界を通じた自由経済の流れと自由貿易の規制を一致させることを強調している言葉として、「グローバル化」という言葉は近年しばしば使用されています。大企業と金融市場に力を得て、「グローバル化」は最大限の利益を得る手段となりました。このような状況で、国家の主権者の利益に通商条約と多国籍企業の経済利益がしばしば先行する場所において、お母さんと子どものニーズはたやすく脅かされてしまいます。世界的な規制緩和と保健医療の民営化の広がりは人間よりも利益を優先させます。この状況では、母乳代用品の使用が一般的だとみなされることが広まり、母乳育児にやさしい実践は失われかねません。

しかしながら「グローバル化」は別の面を持っており、母乳育児の文化を強めたり、わが子を慈しみ育てるための、この根源的できわめて重要な行為(すなわち母乳育児)を保護したりするために使われることもできるのです。母乳育児のための私たちの活動は、よりよい世界を作り出すことをめざしています。つまり、お母さんと子どもにとっても、環境にとってもよりやさしく、公平ですべての人びとと平和に暮らせる世界をめざしているのです。インターネットや電子メールのお陰で私たちの組織と組織、企画と企画、連盟との連携、団体と団体といった行動のネットワークを即座に利用することができるようになったため、母乳育児の共同体が地球規模でつながるようになってきました。こうしたネットワークにより、お母さん、両親、女性グループ、保健医療従事者、さまざまな機関、環境保護のネットワークは母乳育児を通して乳幼児の健康がきちんと保護されるように、新しく創造的なやり方をみつけています。

このパンフレットには、あなたやあなたが行動を共にしているグループで世界母乳育児週間2003年の目標達成を可能にするための情報が含まれています。

それらは以下の通りです。

●母乳育児の実践に対する「グローバル化」の乗り越えるべき課題と(「グローバル化」による母乳育児推進の)チャンスを認識すること。
●母乳育児と(母乳を続けながら)適切な母乳を補う食べ物(離乳食)を与える重要性、および人工乳の健康に対するリスクを人びとに教えるために、「グローバルな」コミュニケーションの可能性を最大に生かすこと。
●「乳幼児の栄養に関するグローバルな運動戦略」を推進し、行動すること。
●「母乳代用品の販売流通に関する国際規準(「WHO規準」)と世界保健総会での関連決議」の弱体化を予防すること。
●世界中のすべての人びとの「グローバルな」公正、平和、健康のために奮闘し、公共の利益を求めるグループと連帯を築きあげること。
●「グローバルな」視野に立ちながら、母乳育児を保護、推進、支援するために、私たちの世界的な母乳育児の共同体のすべての部門を巻き込んで、それぞれの地域で活動すること。

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乗り越えるべき課題は何でしょう?

  自由貿易か公正貿易*か

訳注「公正貿易」とは、国際的な貿易をより平等にするためにおこなわれる、対話と透明性、敬意に基づく貿易のパートナーシップ。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者の権利を保障し、よりよい条件で取引することで、持続可能な開発を支える

 

●母乳育児を弱体化させる乳児用人工栄養製品の市場を規制する国内法の採用を、自由貿易は阻むべきではありません。
●母乳育児、その土地固有の食物、遺伝子操作された食品の原材料、乳児用食品のラベル、そして食品安全性の基準といった事柄についての国家の乳児栄養の政策を発展させ、施行することを政府が阻む口実に、貿易協定は使われるべきではありません。

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公共の医療や栄養のサービスの民営化

●世界的に公共の保健・医療ケアの財源は縮小されており、質の高いサービスを提供する力は弱まっています。このことは、特にお母さんと子どもたちに顕著です。
●政府は国民に対し、確実に保健・医療ケアを提供する責任を放棄しつつあります。
●企業が国連の威光を無差別に利用し、非倫理的な振る舞いから人びとの目をそらせ、そしてまた、国連機関との不適切な連携を通して、特に国連「グローバル・コンパクト」を通して、政策決定の役割を担うかもしれません。

訳注「グローバル・コンパクト」とは、グローバリゼーションの恩恵を、幸運な少数の人びとだけではなく、すべての人びとが享受できるように企業が行動することを支援するために設けられた国連主導のプロジェクト。1999年1月、アナン国連事務総長(当時)が提唱し、翌年2000年7月にニューヨークの国連本部で正式に発足し、すでに世界の数百の有力企業が参加しています。このプロジェクトに参加する企業は、国連が提唱する人権、労働基準、環境の3分野の合わせて9つの普遍的な原則を支持し、実践することを通じて、世界規模での持続可能な経済成長を実現する努力が求められます。

http://www.unic.or.jp/globalcomp/glo_01.htm(現在リンク切れ2013/06/18)

●「赤ちゃんにやさしい病院運動」のような母乳育児を推進する公衆衛生計画や運動は、もはや十分な支援を受けていません。
●民間の保健・医療ケアを買う余裕のある富める人と貧しい人の差が広がっています。これは、貧しい地域の女性と子どもに、特に影響を及ぼしています。

貿易協定

 赤ちゃんを含む消費者を保護する保健政策を国家が制定する場合、世界貿易機構の管理下での国家間の貿易協定は、時に障害と見えることがあります。 例えば、カナダの健康福祉局の代表者は「母乳代用品の販売流通に関する国際規準(WHO規準)」がアメリカと結んだ「北米自由貿易協定(NAFTA)」に取って代わられると忠告したことがあります。“人工乳メーカーが市場で完全に自由競争できる権利の拘束”というように、この「WHO規準」は理解されていたのです。

  このような観点は、しかしながら根拠のないものです。「国際規準(WHO規準)資料センター」によると、この「WHO 規準」とこれを実行するための各国の国内法は世界貿易機構やNAFTAのような地域の通商条約を侵害しません。貿易協定は「類似品」を製造するすべての企業に対して、平等な競争条件を提供することで、貿易上の障壁を取り除くことを目的とするものです。とりわけ、消費者の健康を守るために設定された、妥当な国際的な規準(例えば「WHO規準」)に従って、法律上成立可能な規制を、国が受け入れることは可能です。

カナダで用いられているような相対する議論の中で、2つの重要な事実が考慮されねばなりません。

●母乳は乳児用の人工乳や他の乳児用食品の「類似品」ではありません。
●政府は消費者の健康を保護するために通商協定を棚上げすることが可能です。

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不適切な販売流通

(外からの力で)適切に母乳を得られないために、毎日3000人から4000人の乳児が死亡しています。

故ジェームス・グラント UNICEF事務局長

 母乳代用品の販売流通に関する国際規準(WHO 規準)」「が承認された22年前から、めざましい進歩はありましたが、多くの製造業者は人工栄養の製品の宣伝攻勢を続けています。母乳代用品は“母乳と栄養は同じ”と宣伝されたり、ラベルに“より消化しやすい”、“栄養の専門家のおすすめ”、“今までよりもっと母乳に近づきました”などと大言壮語されています。無料の試供品が妊娠中の女性や赤ちゃんを産んだばかりのお母さんに医師の診療所で配られたり、製品の情報やクーポンが赤ちゃんを産んだばかりのお母さんに当たり前のように郵送されたりしています。

このようなやり方は特に途上国で破壊的な影響をもたらしています。例えば、人工乳の企業が、無料の乳児用人工乳を産科施設で当たり前のように配ることが、母乳育児を続ける期間を短くしてしまっています。これは、いろいろな意味で、赤ちゃんと家族の健康にひどい悪影響を与えます。

●新生児に哺乳びんを使用すると、乳頭混乱が生じ、乳房を吸うことができにくくなり、母乳育児がうまくいかなくなる可能性が高くなります。その赤ちゃんは、人工乳に頼ることになります。

●お母さんと赤ちゃんが退院すると、人工乳は無料ではありません。家に帰ると両親は人工乳を買わなければなりませんが、その出費は家族の収入の50%以上を占めます。その結果、赤ちゃん用の人工乳は多くの場合なるべく買わなくてもすむようにと過剰に薄められ、栄養不良の原因となるのです。

●人工乳に対する支出は家族全員に影響します。もともと貧しかったのがもっと貧しくなって、家族全員の栄養不良のリスクを高めます。

●哺乳びんで子どもを育てると、母乳がもたらす免疫面の恩恵もなく、しかも、安全とはいえない水を使って非衛生的に調乳することになります。だから哺乳びんで育てられた子どもは、母乳で育てられた子どもに比べると25倍も下痢やその他の疾患で死亡しやすいという結果になってしまうのです。

●毎年150万人の子どもが母乳育児されないために死亡していると、世界保健機関(WHO)は推定しています。

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非常事態における乳児の食べ物

21世紀の「グローバル化」された世界において、非常事態はよりいっそう珍しいことではなくなっています。 気候の変化によって洪水や砂漠化が起こったり、貧困や戦争が増えたりして、公民権を奪われるお母さんや子どもはますます増えていくでしょう。このような状況で、母乳育児は決定的に重要です。母乳育児は赤ちゃんの命を救います。母乳は完全無欠の栄養を赤ちゃんに与え、さらに、抗感染物質が、非常事態で流行する可能性がある下痢や呼吸器感染から赤ちゃんを守ります。それに反して、人工栄養はそのような状況では危険であり、栄養不良、疾病、乳児死亡のリスクを高めます。母乳育児をすることで、お母さんも子どもも慰められ、心の支えが得られます。ですから、母乳育児はいつでも保護していく必要があります。非常事態や人道的援助が必要とされる状況で、母乳育児に関してよくいわれる神話がありますが、それらの誤りを検証することが重要です。

神話1―ストレスは母乳を干上がらせる

極度のストレスや恐怖がお母さんの母乳の流れを少しの間止めることがあっても、その反応は通常、一時的なものです。母乳育児をすると、お母さんと子どもを落ち着かせ、実際に緊張を和らげるようなホルモンが産出されるという医学的根拠(エビデンス)が証明されつつあります。

神話2―栄養不良の母親は母乳育児ができない

非常事態では、食べ物は授乳中の母親に配られるべきです。なぜなら、赤ちゃんを母乳で育てるのに加えて、年長の子どもたちや子ども以外の家族を世話するために元気でいつづける必要があるからです。母体が深刻な栄養失調にかかっている場合のみ、母乳の産出が減ります。そのようなまれなケースでは、母体の栄養状況が改善するまで、乳児に母乳以外のものを補足的に与えてもいいでしょう。

神話3―下痢の赤ちゃんには水かお茶が必要

母乳で育てられていて、極度に下痢をしている赤ちゃんで、脱水の所見がある場合は、経口哺液が必要です。しかし、母乳育児は止めたり、減らしたりされるべきではありません。非常事態では水は多くの場合汚染されているので、注意が必要です。

神話4―一度母乳育児を止めてしまったら、再開できない

適切なリラクテーション(母乳復帰)の技術を用いれば、お母さんが母乳育児を再開することは可能です。母乳復帰をすれば、非常事態において、生命を救う栄養と免疫面での恩恵が得られます。

 資料:BFHI ニュース、ユニセフ 1999年9月/10月

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環境

炭坑に連れていくカナリアが死ぬと、炭坑自体が人体に致命的に汚染されていると知らせているのと同じく、母乳の中に汚染物質が発見されたということは、すべての人の体が化学物質で汚染されているという警告を私たちに告げているのです。

2002年11月 「子どもたちへの健康的な環境に向かって」から抜粋

 母乳育児は環境にやさしく、乳児に完全な最初の食べ物を与える、世界で最も貴重な「再生可能な自然資源」の1つです。けれども、他のほとんどの自然資源のように、母乳も化学物質で汚染されています。しかし母乳の汚染度が最高の地域であったとしても、人工乳に関連する健康へのリスクは全体としてより高いのです。毒物を心配している人びとは、鉛、アルミニウム、カルシウム、水銀のような重金属、農薬や化学肥料の残留化学物質、そして、ホルモンかく乱物質といったものすべてが人工乳の中に見つかってきていることを心にとめておくべきでしょう。加えて、(人工乳を作る)工場での汚染や細菌の汚染が原因で、市場から乳児用人工乳の欠陥品回収が定期的におこなわれています。

この貴重な資源を保護するために、他の残留有機汚染物質(POPs)と農薬の使用を減らす「グローバルな」運動を私たちは支持しなければなりません。この運動の見本として、残留有機汚染物質に関するストックホルム条約とILOの農業に関する安全衛生条約(第184号)があります。

 HIV/AIDS

「乳児の適切な栄養の実践」を推進するにあたって、乗り越えるべき課題はいくつかありますが、その中で最も難しい問題の1つが、HIV/AIDSの世界的流行です。 対応としては、例えばHIV陽性のお母さんの赤ちゃんのための、母乳銀行を増やすことといった実行可能な運動があげられます。加えて、いくつかの研究で示されていることですが、完全母乳で育てることで、人工乳で育てられた赤ちゃんの水準まで感染のリスクを減らすことができることもわかっています。

HIV感染がハイリスクであるいくつかの環境では、乳児が母乳で育てられていない場合、生後2ヵ月の間に感染症で死亡するリスクが6倍にもなることが、WHOの総説*で示されています。そのような乳児は、完全母乳の子どもより、14倍下痢で死亡しやすく、3倍急性呼吸器感染症で死亡しやすいのです。このような環境において、HIV感染を減らすために乳児の人工栄養を推進することは、乳児の罹病率、死亡率、栄養不良を結局増加させることになるかもしれません。

 *注:WHO 乳児死亡予防のための母乳育児の役割についての共同研究チーム

 

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遺伝子組み換え食品

 哺乳びんで育てられている赤ちゃんが遺伝子組換え乳児用人工乳を与えられた場合、遺伝子操作された食品の規制と試験体制が不十分なため栄養不足に陥る可能性があります。

英国遺伝子組換え食品に関する英国学士院ワーキンググループ

 多くの国の規制のゆるい表示法は、消費者が知らないところで企業が人工乳や他の乳児用食品に遺伝子組み換え有機物を使うことを許しています。挿入された遺伝子は植物の自然な成長や発達を妨げ、予想されたのと異なるように作用する可能性があります。その結果、遺伝子操作された食物には、人間の健康に害を及ぼす恐れのある予期しない影響が現れるかもしれません。ある生物から別の生物に毒性やアレルゲン(アレルギーを引きおこす抗原)が移る可能性もありますし、遺伝子組み換え食品を通じて抗生剤に耐性が生まれて抗生剤が効かなくなったり、遺伝子操作が食べ物の栄養価を下げたりする不安もあります。このようなリスクのため、乳児用食品は遺伝子組み換え生物を使わないようにしなければいけないのです。このような結果がすべて分かっているわけではないのに、遺伝子組み換え食品を人間の乳児に試みることは正しいことでしょうか?

 

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どの国が「WHO規準」を法制化してきたのでしょう?

包括的な法律、法令、法律的に強制力をもった政策として「母乳代用品の販売流通に関する国際規準(WHO規準)と世界保健総会の関連決議」の大部分を施行している国は、この地図のとおりです。

資料:IBFAN/国際規準(WHO規準)資料センター(ICDC)

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「グローバル化」によって生み出されるチャンスとは?

「グローバルな」コミュニケーションの改善は、世界的な対話、ネットワーク、行動の機会を提供します。 21世紀において、実行可能な解決策を作り出しながら、人々を結びつけるために役に立つようなこれらのしくみを利用し、「グローバル化」に伴う課題を解決するために努力する方法を見つけ出す必要があります。世界的な母乳育児の活動家が共に活動することで国際的にも地域の共同体へも、よい影響を与えることができます。つまり、組織の中でも、個人的にも影響を与え、女性が母乳育児をおこない、子どもに理想的なケアをすることが可能になるのです。

 

行動のためのアイデア

●一般的な問題や課題に取り組む母乳育児の運動家の間で世界的な協力を増進しましょう。
●平和と公正のために働く市民団体組織の中で、母乳育児の重要性を強調しましょう。
●母乳育児を推進し保護する世界中の人々をつなぐ、効果的で、低コストの通信手段を利用しましょう。
●HIVの流行に直面し、乳児の栄養法の決定をしなければならないお母さんに正確な情報を提供するための独立した研究を、私たちが団体で求めることもできます。
●乳児栄養食品の表示法や販売流通を規制したり調整したりするための健全な政策を確立するよう、政府を説得するために世界的なネットワークを利用しましょう。

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行動のためのアイデア

「グローバル化」においては、いろいろな規則が優先されて健康目標は、ないがしろにされるかのように見えるかもしれませんが、よりよい世界のための平和と公正を勝ち取るために、(「グローバル化」の)手段と枠組みを使うことができるのです。過去20年の間に、母乳育児を支援するようなさまざまな法的手段、技術的資料、戦略やガイドラインが採用され、母乳育児の支援者が活動できるような地球規模でのネットワークが形成されました。「グローバル化」に直面しても、これらの文書は母乳育児の文化を創り出すために用いることができます。

「母乳代用品の販売流通に関する国際規準(WHO 規準)と世界保健総会の関連決議」(www.who.org)は人工食品製品の販売流通を規制し、母乳育児を妨げないために、乳児用食品会社や保健・医療制度や政府が最低限、守らなければならない条件を定めています。

やってみましょう! 医療従事者に「WHO規準」の重要性と、どのように実行するのかを教えてあげましょう。乳児食品の広告と宣伝を監視するのを手伝いましょう。政府がこれらの製品の販売流通を規制するように助けましょう。(3ページの地図を参照ください)

「赤ちゃんにやさしい病院運動」(www.unicef.org/programme/breastfeeding/baby.htm)を進めていけば、すべての産科施設は必ず地域の母乳育児支援の中心的存在となることでしょう。無料や低価格の母乳代用品を受け入れず、哺乳びんや乳首を使わず、 「母乳育児成功のための10ヵ条」を実行すれば、病院は“赤ちゃんにやさしい”と認定されることができます。

やってみましょう! 地域の病院や出産センターが“赤ちゃんにやさしい”と認定されるよう育て、力づけるために、国の母乳育児の連盟や組織と一緒に活動しましょう。医療従事者の養成や医療施設の認定に関しては国際ラクテーション・コンサルタント協会(ILCA)とともに協力して活動しましょう。

「乳幼児の栄養に関するグローバルな運動戦略」(www.who.org)は、政府に対し「WHO規準」を支持するように求めています。また、生後6ヵ月間母乳だけで赤ちゃんを育て、その後は安全で栄養豊富な、母乳を補う食事(離乳食)をあげながら2歳以上母乳育児を続けることを推進することで、栄養不良や太りすぎの問題に対処するように求めています。

やってみましょう! この「グローバルな運動戦略」の勧告の実施を保障するように地域や県の関係政府機関に手紙を書きましょう。完全母乳育児の割合を増すためにILCAの専門知識と資源を活用しましょう。

「子どもの権利条約」(www.unicef.org)は、歴史上最も普遍的に受け入れられている人権文書です。合衆国とソマリア、ティモールを除いた世界中の国で批准されています。

やってみましょう! 学校や支援団体を通じてお母さんと子どもに“子どもの権利”を教えましょう。「子どもの権利条約」の基本理念が擁護されるべきことを、当局に強く主張しましょう。

訳注 子どもの権利条約 (Convention of Rights of Children,CRC)

1989年国連総会において採択され、2003年7月現在192の国と地域が締結している。日本は1994年に批准。子どもの権利条約第24条では子どもには到達可能な最高水準の健康を享受する権利があること、社会構成員特に親子は子どもの健康および栄養の基礎的知識、母乳育児についての情報・教育にアクセスする機会が確保されるべきであるとされている。 www.unucef.or.jp/kemri/joyaku.htm

「ILOの母性保護条約」(ILO, www.ilo.org/)は働く女性の妊娠・出産・授乳に関する権利を、職場で保護するための具体的な勧告を含んでいます。

やってみましょう! 組合や企業のニュースレター、お母さんや保健・医療従事者や雇用主との対話を通じて、雇用主や組合の責任者、医療従事者やお母さんに「ILOの母性保護条約」について教えましょう

訳注 ILO(国際労働機関)の母性保護に関する第183号条約

2000年のILO総会で改正された女性保護に関する条約。改正点には、出産に伴う休暇を14週に引き上げること、出産に伴う休暇の後に元の職に復帰する権利を女性が有すること、女性が授乳中である場合の労働時間短縮とそれに対する相応の報酬を求める権利を認めることなどが含まれている。日本は改正案の採択を棄権し、条約の批准も行っていない。

「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女性差別撤廃条約)」(www.un.org/womenwatch/daw) は、妊娠・出産・授乳に関して女性が自分で決定する権利(リプロダクティブ・ライツ)を確約する唯一の人権協定です。したがって、女性の妊娠・出産・授乳に関する権利を保護するための重要な手助けになります。

やってみましょう! 母乳育児中や妊娠中の差別から女性を保護することを政府に働きかける道具として、この条約を使いましょう。

「FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)」(www.codexalimen-tarius.net/)は、乳児用食品も含めた食品の基準を定めるWHO/FAO の合同計画です。(注 FAO:国連食糧農業機関Food and Agriculture Organization of the United Nations)食品の公正な貿易を保障し、消費者の健康を保護するためのものです。しかしながら、この委員会は食品企業に強く影響されています。

やってみましょう! 「WHO規準と世界保健会議の関連決議」を乳児用人工乳と補完食(離乳食)の基準に組み込むようコーデックス委員会に参加する政府と非政府組織に働きかけましょう。

「ミレニアム開発目標」(www.undp.org/mdg)は「国連開発計画」(UNDP)の貧困削減と生活改善のための議題です。

 訳注「ミレニアム開発目標」(Millenium Development Goals, MDGs)は2000年の国連サミットで採択された極度の貧困を根絶するための行動計画。MDGsは、8つの目標からなり、貧困、飢餓、病気、非識字、環境悪化、女性差別などの課題に立ち向かうことを謳っている。

www.undp.or.jp/arborescence/index2.html

やってみましょう! 子どもの死亡率の減少、母親の健康状態の改善、ジェンダー(社会的な性別)の平等、女性への力づけ(エンパワー)により、多くの「ミレニアム開発目標」が達成できます。そのためには、母乳育児が重要な役割を果たすことについて、共同体や政治の責任者に教えましょう。

「母親が母親を支援するサポートグループ」(www.lalecheleague.org)は、お母さんが情報を分かち合い、支援するために協力するといった普遍的な方法です。

やってみましょう! 共同体で妊娠中の女性や新しいお母さんのための支援グループを組織しましょう。はじめて母親になった女性が地域の母親が母親を支援するサポートグループに連絡を取るのを手助けしましょう。

 

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 活動中の母乳育児運動 ネスレ ボイコット(不買運動)

「ネスレ ボイコット」は、計画された消費者運動の中で最も成功したものの1つです。ターゲットのネスレは、世界で最も大きな乳児用食品企業で、乳児用人工食品について言語道断の宣伝をしています。ネスレは恒常的に以下のことをおこなっています。

●お母さんに人工乳児用食品の情報を与えるのを推進し、母乳育児を阻止しています。
●医療機関に無料のサンプルや供給品を寄付しています。
●保健・医療従事者に自社製品を宣伝するよう仕向けています。
●母乳育児の利点と人工乳の危険性をラベルに明確に記載していません。いくつかのケースでは、ラベルはお母さんが理解できないような言葉で書かれています。

ネスレが「WHO規準」の軽視を続けているため、20ヵ国で、ネスレ製品の消費者不買運動が続いています。この不買運動はネスレが「WHO規準と世界保健総会の関連決議」を会社の方針でも、販売流通の現場でも、完全に遵守するまで続くでしょう。不買運動についての詳しい情報は、www.babymilkaction.org.まで。

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ネットワークと情報源

World Alliance for Breastfeeding Action

世界母乳育児行動連盟 (WABA) www.waba.org.my
International Baby Food Action Network
国際乳児用食品行動ネットワーク(IBFAN) www.ibfan.org
La Leche League International
ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(LLLI) www.lalecheleague.org
ラ・レーチェ・リーグ日本(LLL日本) www.llljapan.org
International Lactation Consultant Association
国際ラクテーション・コンサルタント協会(ILCA) www.ilca.org
日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC) www.jalc-net.jp
Academy of Breastfeeding Medicine
母乳育児医学アカデミー(ABM)  www.bfmed.org

「企業との癒着のない国連を求める連盟」(www.corpwatch.org)は国際組織の集まりでIBFANも含まれています。この連盟は国連機関が、「母乳代用品の販売流通に関する国際規準(WHO規準)」といった、国連の目的や基本理念に反するような企業と手を組まないことを確実にするために結成されました。

「グローバル化に関する国際フォーラム」(www.ifg.org)は、60人の主要な活動家、学者、経済学者、研究者、ライターが新しい考え方や、共同活動、経済の「グローバル化」に対応した公共教育を促すために結成されたものです。

「ピープルズ・ヘルス」(大衆健康)運動(http://phmovement.org) は、健康は社会的、経済的、政治的課題でありすべての基本的人権の上位に置かれると信じています。

この運動は母乳育児文化を支援しています。お近くの「ピープルズ・ヘルス」(大衆健康)運動団体と連携するために、ウェブサイトを訪問しましょう。

この運動は、すべての人の健康に関するアラム・アタ宣言25周年を記念したものです。一緒に運動に参加しましょう。

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情報源

‘We the People’ or ‘We the Corporations’?, 『(仮題)私たちは市民か企業か?』Judith Richter, IBFAN/GIFA, 2003

Alternatives to Economic Globalisation (A Better World is Possible), 『(仮題)経済のグローバル化への代替手段 (よりよい世界は可能です)』The International Forum on Globalisation, Berrett-Koehler Publishers, Inc, November 2002

Holding Corporations Accountable: Corporate Conduct, International Codes and Citizen Action, 『(仮題)企業に責任を問い続けて:企業経営:国際規準と市民活動』Judith Richter, Zed Books, 2001

waba_logo世界母乳育児行動連盟(WABA)は、「イノチェンティ宣言」と「乳幼児の栄養に関するグローバルな運動戦略」に基づき、母乳育児を保護・推進・支援する個人、ネットワーク、さまざまな組織の「グローバルな」連盟です。中心となる仲間は、国際乳児用食品行動ネットワーク(IBFAN)、ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(LLLI)、国際ラクテーション・コンサルタント協会(ILCA)、Wellstart Internationalウエル・スタート・インターナショナル、母乳育児医学アカデミー(ABM)です。

WABAはいかなる形でも、母乳代用品、関連する器具や補完食(離乳食)を生産する企業からの支援はお断りしています。WABAは世界母乳週間の参加者全員が、この倫理上の立場に従い、これに敬意を払ってくださるようお願いしています。

母乳育児支援ネットワーク(BSNJAPAN)について

母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)はWABA(母乳育児支援行動連盟)を日本で紹介し、日本での母乳育児を支援する活動を行うことを目的として2000年に設立された非営利団体です。 WABAの支援団体として登録されており、母乳育児支援に関心のある方の参加と協力をお待ちしております。

BSNの理事会は医師や助産師などの保健医療専門家のみならず、社会福祉やメディア社会学、法律の専門家、および母乳育児支援団体の母親リーダーなどを含むメンバーで構成されており、母乳育児がしやすい社会をめざして活動を続けています。

BSNJapanはWABA(世界母乳育児行動連盟)の承認団体であり、乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)のメンバーグループでもあります。


最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

Facebook母と子の災害時の育児支援 共同特別委員会

災害時の母乳育児相談