イノチェンティ宣言

「母乳育児の保護、推進、支援」に関するイノチェンティ宣言

私たちは、以下の理由から、

母乳育児はかけがえのない方法であると認識しています

● 乳児に理想的な栄養となり、乳児の健康な成長と発達に寄与する。

●感染症の発生率と重症化がおさえられ、乳児の罹病率と死亡率が低くなる。

●乳がんや卵巣がんの危険が減り、次の妊娠までの期間があくことで、女性の健康に寄与する。

●家庭と国家に社会的、経済的利益をもたらす。

●うまく成し遂げたときにはほとんどの女性が満足感を得る。

また、最近の研究によれば

生後6ヵ月間の母乳育児が完全であればあるほど、また、離乳食と並行して母乳育児を続ければ続けるほど、以上の恩恵はより大きくなり、さらに、母乳育児のためのプログラムが介入することによって、母乳育児の行動によりよい変化がもたらされることがわかっています。

それゆえ、私たちは宣言します

●母親と子どもが最適な健康と栄養を得るための世界規模の目標として、すべての女性が生後4-6ヵ月まで完全に母乳だけで乳児を育てることができるように、また、すべての乳児が4-6ヵ月までは完全に母乳だけを飲むことができるように推進しましょう。

その後は、子どもたちに適切で十分な食べ物を補いながら、2歳かそれ以上まで母乳育児を続けるようにしましょう。

母乳育児に対する社会の意識を高め、周囲の環境を整え、母乳育児をサポートすることによって、子どもの栄養に関するこうした理想は実現します。

●この目標を達成するためには、多くの国で「母乳育児文化」を強化し、「哺乳びんで授乳する文化」の侵略から精力的に防御する必要があります。

このためには生活のあらゆる面で、社会的に認められた指導者が、その特権と権威などもフルに使って社会変革に取り組み、擁護していくことが必要なのです。

●女性が自分も母乳育児をすることができるのだという自信が持てるように、変革していかなければなりません。

女性をエンパワーする(女性に力をつけさせる)ためには、母乳育児に対する見方や行動をわからないように、巧妙で間接的な方法を使って情報操作したり影響を与えたりするものを取り除くことが大切です。

そのためには常に気を配り、継続的に目を光らせて、あらゆるメディアを使って反応のよい、総合的なコミュニケーションの方法で社会のすみずみにまで発信していくことが必要です。

さらに、医療制度、職場、社会の中にある母乳育児の障害となるものを取り除かなければなりません。

● 女性が自分自身と家族の理想的な健康のために十分な栄養を摂れるように施策を講じましょう。

さらにすべての女性が家族計画の情報を得ることができるように、そして、母乳育児を続けることによって子どもを産む間隔が短くなるのを避けられるようにしましょう。

子どもを産む間隔が短くなると、女性やその子どもの健康や栄養状態を損なう可能性があるからです。

●すべての政府は国としての母乳育児の方針を立て、1990年代の間に国の適切な到達目標を決めるべきです(注:イノチェンティ宣言は1990年に承認されています)。

国は、到達目標に達することができるかどうか追跡するための国の制度を確立するべきです。

そして、産科医療施設から退院するときに完全に母乳だけを飲んでいる乳児はどのくらい、生後4ヵ月で完全に母乳だけを飲んでいる乳児はどのくらいといった指標を決めるべきでしょう。

● 政府当局にも働きかけて、総合的な健康と発達の方針の中に、母乳育児に関する方針を統合させるようにしましょう。

そうすることで、妊娠中、産後のケア、栄養、家族計画、よくある母親や子どもの病気の予防と治療といった、相互補完的なプログラムの中で、母乳育児を保護し、推進し、支援するすべての行動を強化していくべきです。

また、すべての保健医療スタッフは、こうした母乳育児の方針を実行するために必要なスキルを磨くトレーニングを受けるべきでしょう。

実践可能な目標

すべての政府が1995年までに、適切な専門家の中から国の母乳育児のコーディネーターを任命しておきましょう。

そして母乳育児に関連のある政府の部門、NGO(非政府団体)、保健医療の協会出身の代表者から構成されるさまざまな分野を生かした、国の母乳育児委員会を設立しておきましょう。

WHOとユニセフの共同声明「母乳育児の保護、推進、支援:母乳育児成功のために:産科医療施設の特別な役割」に述べられている「母乳育児を成功させるための10ヵ条」の10ヵ条すべてが、どの施設でも完全に実践できるようにしておきましょう。

「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」と世界保健会議の決議案のすべての条項の原理と目的が達成されるよう行動を起こしましょう。

そして、働く女性が母乳育児を続ける権利を守る独創的な法律が成立し、施行されるための手段を講じておきましょう。

 

私たちはまた、国際的な団体に次のようなことをお願いします

母乳育児を保護し、推進し、支援するための行動戦略を練りましょう。

これはそれぞれの方策を世界規模で監視し評価することも含みます。

国の状況を分析し、調査をし、国の目標や行動の到達目標を定め、後押ししましょう。

母乳育児に関する国の方針を計画、実施、追跡、評価するように政府当局を奨励し、支持しましょう。

 

イノチェンティ宣言は、「1990年代の母乳育児:世界規模のイニシアチブ」に関してWHOとユニセフの方針作成者の会議で、参加者によって作成、承認されました。

この会議は、米国国際開発庁(A.I.D.)、スウェーデン国際発展オーソリティ(SIDA)が共同スポンサーとなり、1990年7月30日から8月1日にかけてイタリアのフローレンスのスペッダーレ・デリ・イノチェンティ(捨て子養育院)において開かれました。

(訳注:ここは、1419年にできた捨て子養育院です。その中にイノチェンティ・リサーチ・センターというユニセフの研究機関があります。

(http://www.unicef-icdc.org/aboutIRC/)

 

この宣言は、会議のために用意された文書、および分科会、全体会で出された考え方を反映しています。

 

2003年1月

翻訳:母乳育児支援ネットワーク

協力:日本ラクテーション・コンサルタント協会、ラ・レーチェ・リーグ日本

(金森あかね、瀬尾智子、本郷寛子、山崎陽美)

母乳育児支援ネットワーク(BSNJAPAN)について

母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)はWABA(母乳育児支援行動連盟)を日本で紹介し、日本での母乳育児を支援する活動を行うことを目的として2000年に設立された非営利団体です。 WABAの支援団体として登録されており、母乳育児支援に関心のある方の参加と協力をお待ちしております。

BSNの理事会は医師や助産師などの保健医療専門家のみならず、社会福祉やメディア社会学、法律の専門家、および母乳育児支援団体の母親リーダーなどを含むメンバーで構成されており、母乳育児がしやすい社会をめざして活動を続けています。

BSNJapanはWABA(世界母乳育児行動連盟)の承認団体であり、乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)のメンバーグループでもあります。


最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

Facebook母と子の災害時の育児支援 共同特別委員会

災害時の母乳育児相談