Day3 母乳育児における世界規模の母親支援運動

~世界規模の母親支援運動(Global Initiative for Mother Support:GIMS)

母乳育児における世界規模の母親支援運動(GIMS)とは、世界母乳育児行動連盟(WABA)の母親支援部会によって取りまとめられた世界規模の運動です。これは、子どもを母乳で育て始めたお母さんが母乳育児を続けるために、理解と支援が得られるような適切な環境を作りだすことを目的としています。GIMSの定義によれば、母親支援とは、お母さんと赤ちゃん双方のために母乳育児が実際にやりやすくなるように、お母さんに差し伸べられる支援のすべてを含みます。必要な支援は女性によってさまざまですが、一般的には励まし、正確で時宜にかなった情報、出産時の人間らしく思いやりのあるケア、アドバイス、安心させてあげること、ありのままを受け入れて認めてあげること、具体的な援助、実際的なコツの伝授などが含まれます。

多くの人がさまざまなところで、精神的な社会支援を必要としています。女性は保健医療専門家、雇用主、友人、家族、地域からの支援が必要です。妊娠、出産、授乳期間を通して条件が整えられてはじめて、安全に赤ちゃんを月満ちるまで胎内で育て、お産の経験を一緒に分かち合いたいと思って選んだ人に付き添われて出産することができます。職場で働く女性は、産後の6ヵ月は完全に母乳だけで赤ちゃんを育て、離乳食を始めた後も母乳育児を続けることができるような支援を受けるべきです。

GIMSは、人権と女性の生殖に関する権利を尊重する取り組みを基盤としています。この取り組みは男性の参加と地域社会の協力を求めています。GIMSは、性別(ジェンダー)に配慮した支援の提供、良質の産前教育とケアを受ける女性の権利、女性が中心で尊重される分娩介助、適切で十分な産科処置を重視します。また地域に住み、健康、食、医療についての知恵を伝える経験豊かな女性の役割もよく理解しています。

さらに広い視野を保ちつつ、さらに、GIMSの母親支援運動は、母乳育児支援に関心のある個人や団体のネットワークによって個々に定義されます。地域における支援組織を強化することに重点を置くグループもあれば、母親が母親を支援する形のサポートやサポートグループ、あるいは保健医療サービスに力を注ぐグループもあるでしょう。

母乳育児における世界規模の母親支援運動の背景となる情報
1990年、31の政府から集まった政策作成者、10の国連機関、その他のWHO・ユニセフの会議に集まった参加者が、母乳育児の保護、推進、支援に関するイノチェンティ宣言を承認しました。90年代において、イノチェンティ宣言は世界規模の母乳育児運動の推進力となり、特に「赤ちゃんにやさしい病院運動」の始まりと「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」の執行の強化は、大きな運動の成果です。またイノチェンティ宣言は、(特に政策問題と保健医療サービスにおける)国際的な到達目標を設定し、働く女性の支援を増大させ、国レベルの母乳育児委員会を設立させる原動力にもなりました。

現在における母乳育児の状況を振り返って、WABAは強化が必要な分野を見極めました。「赤ちゃんにやさしい病院運動」(BFHI)は、赤ちゃんに焦点を当てていますが、女性のニーズに関しては十分強調されているとはいえません。母親への産前、陣痛時、分娩時、そして産後のケアが、女性の健康と福祉を支援するような方向に、BFHIをもっと「お母さんにやさしく」する時機が来ています。そうしたケアが望ましい母乳育児支援ともなることがわかっているからです。妊婦や赤ちゃんを産んだばかりの女性は、一貫しないサービスや、温かい支援に満ちているとはいえない保健医療施設の方針や手順や処置が原因で、不安定な状態に置かれることがよくあります。

(女性のニーズの需要と供給の)隔たりは、保健医療施設だけではなく地域にも起きています。伝統的な社会では、女性がスムーズに母乳育児を始め、継続させるために必要な支援や実際的なアドバイスは、親戚や親しい友人の手にゆだねられていました。地域によってはそのような伝統的な支援体制がまだ存在していますが、伝統が失われてしまった地域もあります。

保健医療施設と地域の両方のレベルでこうしたニーズがあることに気づいたWABAは、イノチェンティ宣言のなかの「支援」の部分に特に注目をした運動を発展させたのです。そして、あらゆるレベルで母親への支援がなされるための戦略的思考を提唱しています。

世界規模の母親支援運動(GIMS)とは?
GIMSは、女性が出産前、分娩時、出産後を通じて適切で正確な情報、支援、保健医療ケアサービスを受けるニーズがあること、そして受ける権利があることに焦点を当てた世界規模の運動です。GIMSは、女性の生殖サイクルを全体的に見て、お母さんと赤ちゃんが望ましい母乳育児を経験できるように援助するさまざまな支援策を推進します。

母乳育児における世界規模の母親支援運動(GIMS)の未来像
どこに住んでいようともすべての女性が母乳育児において、専門家やレイ・プロフェッショナル(専門家の資格はないが、一定のトレーニングを受けた民間の援助者)の支援、社会的支援を受けられるようになること。お母さんと子どもが望む母乳育児経験ができるように必要な情報、教育、励ましを得られるようになること。それがGIMSの未来像です。

目的
母乳育児の情報、教育、支援、ケアの提供において、必要な手段が講じられ、お母さんと赤ちゃんが望ましい結果を得ること。

焦点
焦点は、母乳育児がうまくいくかどうかに影響を与える、女性の生殖サイクル(妊娠、出産、産後、母乳育児)における支援にあります。とはいっても、この時期以前、もしくは以後の教育や支援に手を伸ばすことも含まれますし、女性どうしの支援ネットワーク(パートナー、親戚、友人など)を妨げるものでもありません。

目標
* 母親への支援は広義にとらえ、母乳育児期間には妊娠中、出産時、産後も含む。
* 特に母乳育児にも影響を与えるお産の状況が、より人間らしく性別(ジェンダー)に心配りをした保健医療ケアになるようなガイドラインや手段を構築する。
* 世界規模で母親支援の理解を深め、地域に密着した母親支援の企画やネットワークを強化する。
* BFHIの第10ヵ条の項目を推進し、母乳育児支援グループへの理解を広げることによって第10ヵ条の項目が実施されるようなガイドラインを発展させる。
* 母親支援を全体的にとらえることができるように、他の運動と連携、連帯する。これには、自然で人間的なお産、家族のサポート、助産術、女性の健康と権利にかかわる運動などが含まれる。
* 望ましい妊娠、出産、母乳育児を実現できるように雇用、保健医療施設、経済界の方針においての変革に弾みをつける。

母乳育児における世界規模の母親支援運動(GIMS)宣言
以下のことが前提にあります。
* お母さんは命を与え、命を生み出すもの、ヒューマニティ(人間性)を豊かにするものです。
* お母さんは赤ちゃんの子育ての主な担い手です。
* お母さんは赤ちゃんに最適な栄養を与えるために、支援を必要としています。
* 母乳育児はお母さん、子ども、家族、地域社会の健康と福祉に寄与します。
* 多くの伝統的な母親支援は、企業の世界的規模化(グローバリゼーション)、近代化、産業社会化の力によって弱められ、危機にあります。
* 同じ仲間どうしの支援グループの方法は、薬物乱用、ガン治療などのさまざまな分野において行動を変え、望ましい行動を維持するのに効果的であることがわかっています。
* 母乳育児における母親支援の概念は、あまり理解されているとはいえず、価値があるとも思われていません。
したがって、私たちは以下のことを宣言します。
* 支援活動の中ではお母さんが中心的な担い手となり、情報やサポートの受け手であるとともに与え手でもあるべきです。
* 生殖サイクルを通じて、赤ちゃんが望ましい栄養を得るのに大きな役割を果たす母親支援の重要な役割を認め、大切にしましょう。
* 妊娠と出産の人間らしく思いやりのあるケアに特に注目すべきでしょう。
* 母親支援とは、お母さんと赤ちゃん双方にとって望ましい母乳育児ができるよう、お母さんに差し伸べられるすべての支援が含まれますから、広く定義するべきです。
* お母さんは、生殖のサイクル(妊娠、出産、産後)を通じての支援を受けるべきです。
* 母親が母親を支援するサポートグループは、母親支援の多くの方法の中のひとつです。
* 母親支援は特に最適な母乳育児が困難な母親たち――働く女性、災害時や戦争化の女性、HIV/AIDSにかかった女性には、特に重要です。

それゆえ私たちは提案します
* 母親支援は国際的、また国や地域のレベルで配慮され、最優先で助成されるべきものです。
* 情報と実際的な援助は、子どもを産む時期の女性と母乳育児をしている女性に差し伸べられるべきです。
* 母親支援を続けるための策を練り、実施するべきです。それにはネットワーキング、また経験やモデル、手段を共有する機会を与えるこが含まれます。

さらに情報が欲しい方は以下にご連絡ください。
World Alliance for Breastfeeding Action PO Box 1200, 10850 Penang, Malaysia
Tel:60-4-6584816 Fax: 60-4-6572655 E-mail: secr@waba.po.my
Website: www.waba.org.br/   www.waba.org.my/
もしくは、
the WABA Mother Support Task Force(母親支援部会):
Paulina Smith, Coordinator <smithpc@att.net.mx> ・ Norjinah Moin, Co-coordinator
<norjinah@hotmail.com> ・ Rebecca Magalhaes, Co-coordinator <Rmagalhaes@llli.org>.

世界母乳育児行動連盟(WABA)は、母乳育児を保護し、推進し、支援するための世界規模の運動です。WABAはイノチェンティ宣言を基盤とし、ユニセフと緊密な連絡を取りながら活動しています。

GIMS for Breastfeeding, Mother Support Task Force ・ Jan 2002
母乳育児における世界規模の母親支援運動部会 2001年1月
World Alliance for Breastfeeding Action (WABA), www.waba.org.br
翻訳:母乳育児支援ネットワーク
2003年1月

母乳育児支援ネットワーク(BSNJAPAN)について

母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)はWABA(母乳育児支援行動連盟)を日本で紹介し、日本での母乳育児を支援する活動を行うことを目的として2000年に設立された非営利団体です。 WABAの支援団体として登録されており、母乳育児支援に関心のある方の参加と協力をお待ちしております。

BSNの理事会は医師や助産師などの保健医療専門家のみならず、社会福祉やメディア社会学、法律の専門家、および母乳育児支援団体の母親リーダーなどを含むメンバーで構成されており、母乳育児がしやすい社会をめざして活動を続けています。

BSNJapanはWABA(世界母乳育児行動連盟)の承認団体であり、乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)のメンバーグループでもあります。


最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

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