母乳育児は最高の投資 WABA1998

WABA’98

界中で、家族や地域社会や国家が子どもたちの健康を増進し福祉を推し進めようとしています。ところが残念なことに、栄養のある食べ物を買うお金がない、きれいな水が手に入らない、予防と治療の両面で医療が受けられないなどといった、経済的な理由のため、こうした努力はなかなか実りません。

その点、母乳育児はほとんど投資を必要としません。それでいて家族にも、雇用主にも、地域社会にも、健康保険制度にも、政府にも、莫大な利益をもたらすのです。

1998年の世界母乳育児週間では、国民の健康に対する最高の投資という側面から、母乳育児を保護・推進・支援するための行動を呼びかけます。今年の目標は以下の3つです。

 

●母乳育児の経済的な価値と人工乳の高いコストを広く知らしめること。
●公的に母乳育児を応援してもらうために、母乳育児の経済的な利点について具体的なデータを提供すること。
●各国政府が以下の2点について理解を深めるよう一翼を担うこと。
・あらゆる社会領域における母乳育児の経済的価値の真価。
・母乳育児推進プログラムへの支援費用を、国家の保健予算に計上する必要性。

INDEX
母乳育児の経済面での利点
母乳育児は最高の投資
母乳育児にかかる費用
人工栄養にかかる費用
母乳だけで育てること
母乳と経済
母乳育児でこんなに節約
行動のためのアイデア
節約だけではない母乳育児の価値

母乳育児の経済面での利点

母乳育児は社会のさまざまな場で経済面での利益をもたらします。

家庭で
●母乳代用品や、人工栄養法に使う器具の購入が不要なぶん、節約になる。
●子どもが病気にかかりにくくなるため、病院に通う回数が減り、医療費の節約になる。また、薬代や病気の子どもを看病する時間も節約できる。
●水を用意したり沸かしたり哺乳びんを洗浄したりといった準備にかける時間の節約になる。
●避妊具や生理用品にかけるお金の節約になる。
●働く時間を病気の子どもの看病に回さずにすむため、節約になる。

雇用主にとって
●乳幼児を持つ被雇用者の生産性が上がり、職場への愛着が増し、常習的な欠勤が減るために、節約となる。

国にとって
●市販の母乳代用品の購入と流通にかかるコストを節約できる(多くの国にとっては、輸入額の減少につながる)。
●母乳育児で予防することができる急性や慢性の疾患の医療費節約になる。
●プラスチック容器の生産や、母乳代用品とその容器の流通・廃棄を減らすことにより、環境破壊が避けられ、そのぶん、経済的な損失を防げる。

例えば、旧ユーゴスラビア出身の家族の場合、母乳育児をしないために、赤ちゃんが生まれて最初の6ヵ月間に母乳代用品を購入するための費用は、全収入の約70%にのぼります。現状では、生後4ヵ月の時点において、一部でも母乳を飲んでいる赤ちゃんはたったの30%にすぎません。この数字を70%に増やせたなら、年間4億4,900万米ドルも節約になり、毎年99,000件の呼吸器感染症、33,000件の中耳炎、123件の早期発症性の糖尿病、84件の小児ガン、152件の卵巣ガンをなくせることになります。産業先進国(開発国)においてすら、このように人工栄養のコストは高いものなのです。(1)

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母乳育児は最高の投資
人工的な乳児用食品を使わないことで家庭が節約できるのは、購入費だけではありません。必要な器具にかかる費用や、調理と後片付けに必要な燃料や時間も節約できるのです。

雇用者が母乳育児を支援する姿勢を持ち、そのニーズを満たす環境が整った職場では、働く人々の職場に対する愛着が増し、病気の子どもを看病するための欠勤も減ります。

貴重な外貨の流出を防ぎ、医療全般にかかる重い負担を減らすことのできる母乳育児の推進は、多くの国にとって、よい投資であるはずです。

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母乳育児にかかる費用

●母親がいつもより多く食べるための費用。
●働く母親への有給休業や職場内保育所といった適切な母性保護を与える費用。
●母乳育児教育を実施し、母親どうしのサポートグループのようなボランティアの母乳育児支援団体を維持する費用

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人工栄養法にかかる費用

人工栄養法(乳児に母乳代用品を飲ませること)は、施設・国家・政府・保健医療団体・家族に、莫大な金銭的負担を負わせます。

医療面での負担
乳児を生後1年間、人工栄養で育てた場合、母乳で育てるのに比べて、以下の傾向があるとされています。

●下痢が多くなる。
●呼吸器疾患が多くなる。
●髄膜炎が多くなる。
●中耳炎が多くなる。
●アレルギーが多くなる。
●慢性消化器系疾患、歯の問題や歯列矯正の問題が増える。
●糖尿病が増える。
●学習障害や発達遅滞の問題が多くなる。
●入院数が増える。
●多くの国では、水で薄めた人工乳、安全でない水、不衛生により、栄養失調が増えたり死亡率が高くなったりする。

家庭にかかる負担
家庭では、人工乳などの母乳代用品、哺乳びんやそれを殺菌するための器具、燃料費、下痢などの病気にかかる医療費がかさみます。

人工乳は、買いにいくにも、用意をするにも、飲ませるのにも、時間を要します。多くの発展途上国の地方では、毎日、水と薪を集めるために何時間も費やさなければなりません。例えば、生後3ヵ月の赤ちゃんは、調乳や煮沸のために1日3ℓ以上の水を必要とし、(その3ℓの)水を沸騰させるために200gの薪を必要とします。(2)

アルゼンチンでは、人工乳を買うために1ヵ月に50米ドル使いますが、このお金があれば、15㎏の肉、75㎏のオレンジ、あるいは50㎏の野菜を家族のために買うことができるのです。

企業にかかる負担
人工乳育ちの赤ちゃんは、母乳育ちの赤ちゃんに比べ、病気にかかる頻度がはるかに高く、かかった場合にもずっと長引きます。したがって、会社勤めの女性で母乳育児をしていない母親は、より欠勤が多くなります。それに対し、アメリカで企業が母乳育児を支援するプロジェクトに取り組んだところ、欠勤が27%減り、健康保険で支払う費用が36%削減されるという結果が出ました。(3)

国にかかる負担
輸入品の母乳代用品を使うと、貴重な外貨が減り、食の安全保障を脅かす恐れが出てきます。

パキスタンでは、人工乳の輸入に1982~83年に400万米ドル、1987~88年に850万ドル、1995年7月~1996年4月に430万米ドルを支払っています。(4)

ガーナの場合、もしも最適な母乳育児【訳注:生後6ヵ月間は母乳だけで、その後補完食を食べさせながら2歳まで母乳育児を続けること】がなされれば、産生される母乳の純利益は1億6500万ドルにもおよぶはずです。実際に「出せるはずだった母乳」だけでも、損失額は3300万米ドルにのぼっているのです。(5)

つまり、わざわざ外貨を支払って、より優れた品質のもの(母乳)を、より劣った製品(人工乳)と交換しているのです。同時に、人工栄養法は、森林の砂漠化をエスカレートさせ、ごみ問題を増やしています(このことは1997年のWABAパンフレット『母乳育児:自然のとる道』で述べたとおりです)。さらにいえば、数値として表すことは難しいのですが、子どもが身体的・知的な潜在能力を最大限に伸ばしきれないことによる人的資産の損失があります。

単純に家庭にかかる母乳代用品の費用を算出し、それに年間の出生数をかけるだけでは、
「母乳育児をしないこと」による国家の損出のすべては反映されませんが、それだけでも、
堅実な政策上の牽引力として活用することはできるはずです。

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母乳だけで育てること
生後6ヵ月間は、赤ちゃんの体重が順調に増加していれば、母乳以外のものを与える必要はありません。補完食(いわゆる離乳食)は生後6ヵ月以前に始めてはいけません(6)。(このような早期に固形の食べ物を口にしても)単に母乳の量が減ってしまうだけで、より良好な発達には結びつかないからです。(7)

現在用いられている乳児成長曲線のグラフは、多くは人工乳育ちの赤ちゃんの成長を基に作成されています。母乳育ちの赤ちゃんは、人工乳育ちの赤ちゃんと成長の度合いが違うのですが、それを知らない保健医療従事者が、必要がないのに人工乳をたすように指示することがよくあります。(8)

母乳だけで育てる期間が短いとどうなるでしょうか
●母乳のほかに何かを与えることで母乳を飲む量が減ってしまい、母乳の代わりに母乳よりも栄養価の劣るも
のを赤ちゃんに与えることになる。
●より月齢が小さく抵抗力のない時期に、不必要な汚染や感染に巻き込まれることになる。
●栄養失調や死亡に結びつく可能性がある。
●子どもの知的発達が阻害されるかもしれない。
●母乳育児による避妊の効果が低下し、きょうだいの年齢差が縮まることで、低出生体重児の生まれるリスクが高くなる。
●母親にとっては、気持ちが落ち着くホルモンであるオキシトシンが失われる。

早期の補足による商業製品への依存
乳児用食品会社(乳業会社)やそこから資金をもらって研究をしている科学者たちは、早くに母乳以外のものを赤ちゃんに与えることを促します。これが結局、多くの場合、高価な市販の人工乳やベビーフードへの依存に結びつくとわかっているからです。

このことを認識している「乳児用食品国際行動ネットワーク」(IBFAN)は、ほかの団体と合同で「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」に違反している乳児用食品・人工乳の販売促進をモニタリング(監視)しています。また、製造者が偽りの申告をしていないかどうかを監視しています。

多くの女性は、自身の母乳が母乳代用品よりもはるかに高品質であることを知りません。母乳代用品が母乳と同等、あるいはそれ以上によいものであるかのように、信じ込まされてきたのです。

女性が母乳で育てない理由で最も多いのは、「母乳が出ないから」というものです。実際には「母乳が出ない(と思う)こと」は、ひんぱんに授乳をすること、 そして、母親がわが子を母乳で育てる能力に自信を持つことで、たやすく乗り越えることができます。多くの場合は、乳児用食品会社(乳業会社)や、しっかりと研修を受けていない保健医療従事者から直接的あるいは間接的に混合栄養をすすめられて、母乳で育てる自分の能力への信頼が揺らいでしまうのです。

生後3ヶ月の赤ちゃんのために購入する母乳代用品は、最低賃金の何%を占めるか

1kgあたりの費用
(米ドル)
月にかかる費用
(米ドル)
最低賃金
(米ドル)
占める割合
ドイツ16.467.2411496%
ポーランド24.51100.4939426%
マレーシア7.4230.4214321%
フィリピン1145.1011926%
スロバキア8.3334.157943%
インドネシア6.7327.605550%
ニュージーランド8.7836.007645%

この情報は、次の方々からWABAに寄せられました。
Tui Bevin, AFS, PPPIM, Pro Vita, N. Clavano, K. Kostyra and YLKI
日本:1kgあたり31.96米ドル(2941円)月にかかる費用:127.84米ドル(11764円) 最低賃金:1093米ドル/月100640円 沖縄1時間629円 8時間×20日で計算) 賃金の11%を占める(2010年4月現在)【訳注】

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母乳と経済

 母乳育児は、女性ならではの社会への貢献の一つであり、そこにいかなる経済的な価値があろうとも、それだけで母乳の真価を語り尽くすことは到底できません。

母乳育児はお金には換えられない「かけがえのないもの」なのです。世界的にもまだまだ少ない「母乳だけで育てる」ことを応援するためには、まず、その重要性への認識を社会に浸透させることが大切です。愛や真の思いやりに値札を付けることはできないからです。ほとんどの女性にとって、母乳育児は自尊心と結びついているものです。

とはいえ、母乳を食糧の収支で考えてみることで、客観的な価値が上がることも、また、事実です(9)。母乳が、国家に対する食糧供給という観点から、実際にどれほどの貢献度を持っているかを目のあたりにすれば、まちがいなく強い印象を受けますし、権限のある政策立案者に、よりなじみやすい形で、母乳育児という行為の重要性を示すことができるでしょう。

母乳育児の経済的な価値
1992年における算出によれば、ノルウェーでは1992年、820万ℓの母乳が産生されました。これは、ノルウェーの病院【訳注:母乳銀行】が支払う対価に基づき、1ℓあたり50米ドルで計算すると、4億1,000万米ドルにも相当します。工場で生産された乳児用食品・人工乳の価値が国民総生産(GNP)に含まれているというのに、母乳のこうした価値は、GNPに含まれていません。だから、おかしなことに、母乳育児の率が上がると、GNPが減ってしまうことになるのです!(10)

アフリカでは、これまでの一部の国での概算例をとると、年間1人あたりの母乳の産生量は10㎏(8~17㎏の個人差がある)とされています。母乳の価値を1ℓあたりたった1ドルで計算したとしても、GNPに加えると、ジンバブエではGNPが1%上昇し、マリでは6%上昇することになります。(11)

オーストラリアで、年間産生される母乳の価値は、計算方法によっても違いますが、17億~27億豪ドルと計算されました。イノチェンティ宣言にある母乳育児目標が達成されれば、母乳の価値はさらに34億豪ドルまで上がるはずです。これは、国内総生産(GDP)【訳注:GNPから国外投資による利益を除いたもの】の3.1%、健康のための公共歳出の40%にも相当する額です。(9)

母乳育児推進による健康保険支出の節約
●赤ちゃんが生後6ヵ月間母乳で育てられると、1人ごとに、米国政府は福祉と保健医療にかかる費用を450~800米ドル減らせる。(12)

●米国では、人工栄養法が原因の可能性がある病気をお金に換算すると、乳児下痢症に年間2億9100万米ドル、RSウイルス感染症に2億2,500万米ドル、中耳炎に6億6,000万米ドル、インシュリン依存性糖尿病に1,000万~1億2,500万米ドル支払っていることになる。(13)

●オーストラリアで、生後3ヵ月まで母乳だけで育てている人を60%から80%増やすことができれば、中耳炎、インシュリン依存性糖尿病、胃腸疾患、湿疹だけに限っても、医療費を1,150万豪ドル節約することができる。(14)

●インドでは、母乳だけで育てることで、子ども1人あたり1年に1回だけでも下痢を予防できるとすると、それによって節約できるお金は、子どもの健康のための国家予算を超えることになる。インドでは母乳育児による授乳性無月経が、避妊法としていちばん使われるのだが、これは家族計画予算のほぼ半額を占めるほどの価値がある。(15)

残念なことに、多くの国では、乳児のいる家庭に無料もしくは補助金を出して人工乳を配給しており、それが母乳育児率の低下につながっています。米国の「女性、乳児、子どものための栄養プログラム」(WIC)では、母乳で育てている女性に配給する食糧の2倍の金額を母親1人あたりに支給する乳児用人工乳に費やしています。(13)

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母乳育児でこんなに節約

メキシコでは、病院を基盤にした母乳育児プロジェクトで子ども1人の命を救うために4米ドルしかかからない。これは、はしかワクチンや脱水症への経口療法のような介入よりもさらに経済効率がいい。(16)

たった1人の赤ちゃんが6ヵ月間母乳で育てられるだけでも、米国政府は福祉と医療にかけるお金を450~850米ドル節約できる。

イランでは、母乳だけで育てる率が1991年の10%から1996年には53%に上昇した。この期間、母乳代用品の輸入は5000万米ドル減らせた。(17)

オーストラリアでは、生後3ヵ月まで母乳だけで育てる率が60~80%増加すれば、1,150万豪ドルの節約になる。(14)

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行動のためのアイデア
●日本の母乳代用品の費用を計算し、その費用で家族のためにどのくらい食糧を買えるかを調べましょう。赤ちゃんは6ヵ月間に約22㎏の人工乳が必要です。生後1ヵ月で2.5㎏、生後2ヵ月目には1ヵ月に3.2㎏、それ以後は1ヵ月あたり4㎏の人工乳を必要とするのです。有名メーカーの人工乳が1㎏あたりいくらなのかを調べて、半年間人工栄養で育てたらいくらかかるのか計算してみましょう。ただし、ほかにもいろいろ費用がかかることも忘れずに!

●概算でいくと、(母乳育児をしないことで)ある一定期間にかかる医療費は、その時期に費やす人工乳の値段の2倍かかります。これを参考にすれば、家族にとって、あるいは国にとって、人工乳による実際の損失がどのくらいなのかをより正確に見積もることができるでしょう。

●人工栄養法にかかる費用について、地域の学習会で話し合ったり発表したりしましょう。

●職場の上司に、職場に母乳育児(支援)プログラムを導入することで得られる経済的な利益について伝えましょう。WABAから「お母さんにやさしい職場のための条件」のチラシを送ってもらったり、ウェブサイトからダウンロードしたりしましょう。

●テレビや新聞などのメディアを使い、「お母さんにやさしい職場賞」を作ったりして、母乳育児を応援している職場への注目を集めましょう。

●母性保護の法律、労働法、健康のためのプログラムを担当している政府の人たちに、このWABAのパンフレットを渡しましょう。

●母乳育児をしないことでかかる実際のコストについて、学校、女性団体、企業などで講演しましょう。

●母乳育児が自国にとって貴重な自然資源であることを人々に認識してもらいましょう。1人あたり1年間に費やす人工栄養法のコストを計算し、子どもの数を掛け、それを1人あたりのGNPと比べてみましょう。

●地方自治体や国の政府代表に、世界母乳育児週間について手紙を書き、政府の各省庁や役所で母乳育児を推進し、公務員への母乳育児支援を改善するように求めましょう。

●どのような方法をとれば、母乳育児を推進し、それによって病院・保健医療施設・家族計画プログラムにおける、あるいは家庭にかかる無駄な負担を省くことができるのか、具体的に提案しましょう。

●保健医療専門家に働きかけ、経済学者や統計学者、健康や食糧関連の統計に関係している人に対し、食糧供給、食糧や栄養の入手、食べ物の経済的価値の統計の中に母乳も含めて計算するように促してもらいましょう。

●母乳育児率が上がれば、病院のコストをいかに削減できるか示しましょう。点滴液、母乳代用品、哺乳びんの購入費用や、スタッフが赤ちゃんのケアに費やす時間を節約し、低出生体重児や新生児の入院期間を短縮したり投薬を抑えたりできることがわかってもらえるでしょう。

●母乳育児を支援し広めるためには、何をおいてもまず、母乳育児の根幹である「女性の権利」に沿った活動が求められます。そのうえで、経済的なメリットと、乳児用食品にかかる輸入コストや保健医療にかかるコストを減らすことで、必要な費用をいかに簡単にまかなうことができるかを示し、母乳育児を推進する活動を後押ししましょう。

情報源
1. Tolstoplatov B, et al. (1996). Cost of Infant Feeding in the Former Yugoslavia. International Child Health, vii(1);39-44.
2.Gilman RH and Skillikorn P(1985).Boiling of drinking water:can a fuel scarce community affort it?Bulletin of the World Health Organisation 63:157-163
3. Cohen R and Mrtek MD (1995). Comparison of Maternal Absenteeism and Illness Rates Among Breastfeeding and Formula Feeding Women in Two Corporations. American Medical Journal of Health Promotion 10(2):148.
4. Linkages, AED (1998). Ghana: suboptimal breast-feeding in infants. Washington, DC: Linkages, AED.
5. Network Newsletter of the Association for Rational use of Medication in Pakistan 5:1, March 1996, page 13.
6. American Academy of Pediatrics Working Group on Breastfeeding (1997). Pediat rics 100(6): 1035-9.
7. Cohen RJ, et al (1994). Effects of age of introduction of supplementary foods on infant milk intake, total energy intake and growth: a randomized intervention study in Honduras. Lancet 344: 288-93.
8. WHO Working group on Infant Growth (1994).An evaluation of Infant Growth. Geneva: WHO.
9. Smith JP and Ingham LH (1997). Unpublished manuscript on the economics of breastfeeding in Australia.
10. Oshaug A and Botten G (1994). Human milk in food supply statistics. Food Policy 19(5):479-482.
11. Hatby A and Oshaug A (1997). Human milk?an invisible food resource. Washington DC: International Food Policy Research Institute.
12. Tuttle CR and Dewey KG (1996). Potential cost savings for Medi-Cal, AFDS, Food Stamps and WIC programs associated with increasing breast-feeding among low-income Hmong women in California. J Amer Dietetic Assn 96:885-890.
13. Riordan JM (1997). The cost of not breastfeeding: a commentary. Journal of Human Lactation 13(2):93-97.
14. Drane D (1997). Breastfeeding and formula feeding: a preliminary economic analysis. Breastfeeding Review 5(1):7-15.
15. Gupta A and Rhode J (1993). Economic Value of Breast-feeding in India. Economic and Political Weekly, June 26, pp. 1390-3.
16. WELLSTART International (1996). Breastfeeding Promotion: A Cost Effective Intervention. Washington DC: WELLSTART EPB.
17. UNICEF (1998). State of the World’s Children. New York:UNICEF.

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節約だけではない母乳育児の価値

経済的なデータを出すことは、政策立案者に、母乳育児の大切さをわかってもらう機会になりますが、経済的な価値を強調するあまりに、母乳育児のよりすばらしい価値を低く見積もることになってはならないとWABAは考えています。母乳育児には確かに経済的な価値があり、それもまた人間としての幸福ではありますが、それよりはるかに大きな価値もあることを忘れてはなりません。母乳育児は赤ちゃんとのスキンシップになりますし、赤ちゃんとお母さんのきずなを確実に深めます。哺乳びんによる栄養法では、これを保証することはできないのです。

さらに、母乳の産生や食べ物としての価値を話し合うとき、自分が牛と比べられているかのように感じる女性もいるので、配慮が大切でしょう。

政策立案者は、母乳だけで育てることの大切さを知り、母親が支援を受けられるようにし、働く女性の便宜を図り、母乳育児が知らない間に阻害されないように、乳児用食品業界(乳業会社)を規制する制度を作らなければならないことを知る必要があります。

今年のWABAのパンフレットは、母乳育児の経済的な価値を提示し、経済的な利点を見直すきっかけ作りのために作成されました。けれどもWABAは、コストの節約のみが母乳育児の利点ではないし、中心的な利点ではないことを重視しています。

何といっても、お母さんと赤ちゃんには、母乳育児をする権利があります。女性が、母親業とほかの仕事のどちらかのみを選ぶ必要があるような状況は好ましくありません。社会のためにも、母乳育児を推進・支援するプログラムに資金を提供し、働く母親の授乳時間を労働時間として認める、さらにいえば、母乳育児に報酬を出すくらいのことがあってもいいのです。カナダのケベック州では、1995年以来、公的援助を受けている母親が母乳育児をしようとしている場合には、助成金を支給するプログラムがあります。

母乳で育てている母親は、「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」に書かれているように、母乳代用品の宣伝や推進から保護される必要があります。

母親には母乳で育てる権利があるし、赤ちゃんには母乳を飲む権利があります。母乳育児は、情報をたくさん持った人、お金持ちの人、幸運な人だけがかなえられる贅沢であってはならないのです。

国際規準違反報告フォーム

母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」の違反を日本語で報告できます。乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)のメンバーグループである母乳育児支援ネットワークの有志が英語に訳してIBFANに届けます。

アイコンまたはこちらをクリックすると「国際規準」違反を報告できるフォームが開きます。ご協力をお願いいたします。

 

最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

Facebook 母と子の育児支援ネットワーク(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会)

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