投稿者: bsn-admin

母乳代用品のマーケティングに関する国際規準

母乳代用品のマーケティングに関する国際規準*(全文はこちら )
International Code of Marketing of Breast-milk Substitutes

*「国際規準」のほか、一般的に「WHOコード」あるいは、「国際基準」とも呼ばれる

(1981.5.21 第34回世界保健総会にて採択)

目的

この「国際規準」の目的は、乳児に対する安全で十分な栄養の供給に寄与することである。そのために、母乳育児を保護・推進【注】し、「必要な場合には、適切な情報に基づき、公正妥当なマーケティングと支給を通じて母乳代用品が適切に用いられること」を保証する。

【注】現在の日本では母乳育児の利点の多くが子育て世代には広く知られており、9割以上の母親が母乳で育てたいと願っています。その願いをかなえるために環境を整える努力をするのは母親ではなく、社会の役割です。「母乳育児の推進」というと、母親に対して「母乳で育てるように推進」するかのように思われがちですが、母乳育児を推進する対象は母親ではなく、むしろ母親を取り巻く社会にあるといえます。この国際規準は国際的に通用するように作られており、企業、保健医療システム、および政府に適用されます。

この国際規準は、母乳で育つ赤ちゃんだけではなく、ミルクで育つ赤ちゃんも含めたすべての赤ちゃんの健康を守るために、世界保健総会で採択されました。国際規準は、女性の意志に反して母乳育児を強いることを目的にしていません。誰もが乳児の栄養法に関して偏りがない正確な情報を得て、必要と見なされたときに、可能な限り安全に使用されるよう保証するためのものです。すべてのお母さんには、十分で偏りのない情報を得た上で自分の家族にとって最適な栄養法を選択する権利があります。

母乳には免疫成分があるなどの利点があることは知られていますが、心地よく母乳をあげるにはコツがあり、産科施設の方針やその後の支援によって母乳育児がうまくいくかどうかの大半は左右されます。しっかり赤ちゃんに吸われたり、(それができない場合は)しぼって外に出したりすることが体へのサインとなり、母乳は作られます。何らかの理由で赤ちゃんがしっかり吸えなかったり、授乳回数が減ったりすると作られる量が減っていきます。こうした母乳分泌のしくみやうまくいくためのコツについての十分な情報が与えられる前に、乳児用ミルクの宣伝メッセージを受け取り、医療機関・医療施設で試供品を渡たされると、それをあげているうちに母乳が出なくなっていきます。そうなると、母乳で育てたいと思ってもうまくいかないだけでなく、お母さんが自分の体への自信をなくしてしまうリスクがあります。

また、商品を売るためのテレビCMや雑誌の広告などの影響力も無視できません。そのような影響からできるかぎりお母さんと赤ちゃんを守ろうというのがこの国際規準の目的です。

母乳代用品とは乳児用調整乳(乳児用ミルク)やフォローアップミルク、そのほかの母乳にとって代わる乳児用食品のことです。また、それだけでなく、哺乳びんや人工乳首のマーケティングも規制の対象としています。

つまり、母乳を代用するどのような製品も「母乳代用品」であり、国際規準はどのような代用品の広告もしてはいけないといっています。そして、十分で偏りのない情報提供を得たうえで、乳児用ミルクや哺乳びんを使うと決めた場合は、安心して安全に使えるように支援されることが大切です。

この国際規準が生まれた背景には、乳児用ミルクを製造する多国籍企業が、自社製品の販路拡大を求めて、発展途上国で、不適切な手段で粉ミルクを売り込んだという事実があります。医療施設の中で白衣を着た「ミルクナース」(セールス員)が、粉ミルクを必需品であり、母乳よりも優れたものであるかのように宣伝し、医療施設の中で試供品を配布しました。

お母さんたちは、試供品のミルクをあげているうちに母乳が出なくなり、赤ちゃんにはミルクが不可欠になってしまいました。しかし、十分な粉ミルクを買うお金がない家庭では、薄めて飲ませることになりました。また、粉ミルクを作る水が汚染されているような状況でも販売促進が行われました。そのため、多くの赤ちゃんが亡くなったり、病気になったりしました。
こうした歴史的な悲劇からの教訓からこの国際規準は生まれました。

1981年の決議に反対したのはアメリカのみで日本を含む3国は棄権しましたが、1994年の世界保健総会ではアメリカ・日本も含む全会一致で採決しています。

しかし、それ以降も規制されたはずの宣伝は続いています。1990年代の実話を元にした映画のサイトはこちら http://www.bitters.co.jp/tanovic/milk.html (「汚れたミルク:あるセールスマンの告発」)

時代の変遷に伴い、世界保健総会で内容の補強が行われており、その決議は「国際規準」と同じ効力を持っています。例えば2016年の世界保健総会で合意された「乳幼児食品の不適切な販売促進をやめる指針」は、政府のプログラム、NGO、企業による乳幼児食品(3歳まで対象)の販売促進に対しても適用されます。この国際規準はWHOに加盟する世界194か国中144か国が部分的あるいは完全に何らかの法律や条例として法制化されています(2022年WHO/ユニセフ報告書)。WHOとユニセフは、全加盟国に対し、国内法制を強化し「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」とその後の世界保健総会の関連決議を有効なものとするように勧告しています。
また、国連の子どもの権利委員会からの日本の第 4 回・第 5 回統合定期報告書に関する総括所見(2019年)でも、この「国際規準」を全面的に実施するように勧告されています。

 国際規準の主な内容(全文ではありません)

1. 消費者一般に対して、母乳代用品の宣伝・広告をしてはいけない。
2. 母親に試供品を渡してはならない。
3. 保健施設や医療機関を通じて製品を売り込んではならない。これには乳児用調整乳の無料提供、もしくは低価格での販売も含まれる。
4. 企業はセールス員を通じて母親に直接売り込んではならない。
5. 保健医療従事者に贈り物をしたり個人的に試供品を提供したりしてはならない。保健医療従事者は、母親に試供品を手渡してはならない。
6. 赤ちゃんの絵や写真を含めて、製品のラベル(表示)には人工栄養法を理想化するような言葉、あるいは絵や写真を使用してはならない。
7. 保健医療従事者への情報は科学的で事実に基づいたものであるべきである。
8. 人工栄養法に関する情報を提供するときは、必ず母乳育児の利点を説明し、人工栄養法のコストや不適切な使用法によるリスクを説明しなければならない。
9. 乳児用食品として不適切な製品、例えば加糖練乳を乳児用として販売促進してはならない。
10. 母乳代用品の製造業者や流通業者は、その国が「国際規準」の国内法制を整備していないとしても、「国際規準」を遵守した行動をとるべきである。

主な参考文献
IBFAN(2019)/母乳育児支援ネットワーク訳(2021)乳児の健康を守るために:保健医療従事者のための「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」ガイド母乳育児支援ネットワーク.
United Nations Convention on the Rights of the Child, Committee on the Rights of the Child. (2019) Concluding observations on the combined fourth and fifth periodic reports of Japan, 5 March 2019.
UNICEF/WHO (2009)赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援 ベーシックコース, 医学書院.
Palmer, G.(2009)/本郷寛子,瀬尾智子訳(2015)母乳育児のポリティクス:おっぱいとビジネスとの不都合な関係,メディカ出版.
WHO (2016) Guidance on ending the inappropriate promotion of foods for infants and young children.
WHO/UNICEF/IBFAN.(2022) Marketing of breast-milk substitutes: national implementation of the international code, status report.
(2009年11月、2018年7月、2019年7月、2022年8月 一部改訂)

国際規準違反を報告するフォームはこちらから

INNOCENTI DECLARATION

INNOCENTI DECLARATION

On the Protection, Promotion and Support of Breastfeeding.

 

RECOGNISING THAT:

Breastfeeding is a unique process that:

Provides ideal nutrition for infants and contributes to their healthy growth and development Reduces incidence and severity of infectious diseases, thereby lowering infant morbidity and mortality Contributes to women’s health by reducing the risk of breast and ovarian cancer, and by increasing the spacing between pregnancies Provides social and economic benefits to the family and the nation Provides most women with a sense of satisfaction when successfully carried out

and that Recent Research has found that:

these benefits increase with increased exclusiveness of breastfeeding during the first six months of life, and thereafter with increased duration of breastfeeding with complementary foods, and programme intervention can result in positive changes in breastfeeding behaviour

WE THEREFORE DECLARE THAT:
●As a global goal for optimal maternal and child health and nutrition, all women should be enabled to practise exclusive breastfeeding and all infants should be fed exclusively on breastmilk from birth to 4-6 months of age. Thereafter, children should continue to be breastfed, while receiving appropriate and adequate complementary foods, for up to two years of age or beyond. This child-feeding ideal is to be achieved by creating an appropriate environment of awareness and support so that women can breastfeed in this manner.

●Attainment of this goal requires, in many countries, the reinforcement of a “breastfeeding culture” and its vigorous defence against incursions of a “bottle-feeding culture”. This requires commitment and advocacy for social mobilization, utilizing to the full the prestige and authority of acknowledged leaders of society in all walks of life.

●Efforts should be made to increase women’s confidence in their ability to breastfeed. Such empowerment involves the removal of constraints and influences that manipulate perceptions and behaviour towards breastfeeding, often by subtle and indirect means. This requires sensitivity, continued vigilance, and a responsive and comprehensive communications strategy involving all media and addressed to all levels of society. Furthermore, obstacles to breastfeeding within the health system, the workplace and the community must be eliminated.

●Measures should be taken to ensure that women are adequately nourished for their optimal health and that of their families. Furthermore, ensuring that all women also have access to family planning information and services allows them to sustain breastfeeding and avoid shortened birth intervals that may compromise their health and nutritional status, and that of their children.

●All governments should develop national breastfeeding policies and set appropriate national targets for the 1990s. They should establish a national system for monitoring the attainment of their targets, and they should develop indicators such as the prevalence of exclusively breastfed infants at discharge from maternity services, and the prevalence of exclusively breastfed infants at four months of age.

●National authorities are further urged to integrate their breastfeeding policies into their overall health and development policies. In so doing they should reinforce all actions that protect, promote and support breastfeeding within complementary programmes such as prenatal and perinatal care, nutrition, family planning services, and prevention and treatment of common maternal and childhood diseases. All healthcare staff should be trained in the skills necessary to implement these breastfeeding policies.
OPERATIONAL TARGETS

All governments by the year 1995 should have:

Appointed a national breastfeeding coordinator of appropriate authority, and established a multisectoral national breastfeeding committee composed of representatives from relevant government departments, non-governmental organizations, and health professional associations.

Ensured that every facility providing maternity services fully practises all ten of the Ten Steps to Successful Breastfeeding set out in the joint WHO/UNICEF statement “Protecting, promoting and supporting breastfeeding: the special role of maternity services”.

Taken action to give effect to the principles and aim of all Articles of the International Code of Marketing of Breast-Milk Substitutes and subsequent relevant World Health Assembly resolutions in their entirety; and enacted imaginative legislation protecting the breastfeeding rights of working women and established means for its enforcement

WE ALSO CALL UPON INTERNATIONAL ORGANIZATIONS TO:

Draw up action strategies for protecting, promoting and supporting breastfeeding, including global monitoring and evaluation of their strategies

Support national situation analyses and surveys and the development of national goals and targets for action; and

Encourage and support national authorities in planning, implementing, monitoring and evaluating their breastfeeding policies

The Innocenti Declaration was produced and adopted by participants at the WHO/UNICEF policymakers’ meeting on “Breastfeeding in the 1990s: A Global Initiative, co-sponsored by the United States Agency for International Development (A.I.D.) and the Swedish International Development Authority (SIDA), held at the Spedale degli Innocenti, Florence, Italy, on 30 July – 1 August 1990. The Declaration reflects the content of the original background document for the meeting and the views expressed in group and plenary sessions.

 

 

 

イノチェンティ宣言

「イノチェンティ宣言」(2005年改訂版)翻訳文 (2007.6)はNPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会>母乳育児情報>資料ダウンロード>2.WHO ユニセフ関連 からpdfがダウンロードできます。

「母乳育児の保護、推進、支援」に関するイノチェンティ宣言

私たちは、以下の理由から、

母乳育児はかけがえのない方法であると認識しています

● 乳児に理想的な栄養となり、乳児の健康な成長と発達に寄与する。

●感染症の発生率と重症化がおさえられ、乳児の罹病率と死亡率が低くなる。

●乳がんや卵巣がんの危険が減り、次の妊娠までの期間があくことで、女性の健康に寄与する。

●家庭と国家に社会的、経済的利益をもたらす。

●うまく成し遂げたときにはほとんどの女性が満足感を得る。

また、最近の研究によれば

生後6ヵ月間の母乳育児が完全であればあるほど、また、離乳食と並行して母乳育児を続ければ続けるほど、以上の恩恵はより大きくなり、さらに、母乳育児のためのプログラムが介入することによって、母乳育児の行動によりよい変化がもたらされることがわかっています。

それゆえ、私たちは宣言します

●母親と子どもが最適な健康と栄養を得るための世界規模の目標として、すべての女性が生後4-6ヵ月まで完全に母乳だけで乳児を育てることができるように、また、すべての乳児が4-6ヵ月までは完全に母乳だけを飲むことができるように推進しましょう。

その後は、子どもたちに適切で十分な食べ物を補いながら、2歳かそれ以上まで母乳育児を続けるようにしましょう。

母乳育児に対する社会の意識を高め、周囲の環境を整え、母乳育児をサポートすることによって、子どもの栄養に関するこうした理想は実現します。

●この目標を達成するためには、多くの国で「母乳育児文化」を強化し、「哺乳びんで授乳する文化」の侵略から精力的に防御する必要があります。

このためには生活のあらゆる面で、社会的に認められた指導者が、その特権と権威などもフルに使って社会変革に取り組み、擁護していくことが必要なのです。

●女性が自分も母乳育児をすることができるのだという自信が持てるように、変革していかなければなりません。

女性をエンパワーする(女性に力をつけさせる)ためには、母乳育児に対する見方や行動をわからないように、巧妙で間接的な方法を使って情報操作したり影響を与えたりするものを取り除くことが大切です。

そのためには常に気を配り、継続的に目を光らせて、あらゆるメディアを使って反応のよい、総合的なコミュニケーションの方法で社会のすみずみにまで発信していくことが必要です。

さらに、医療制度、職場、社会の中にある母乳育児の障害となるものを取り除かなければなりません。

● 女性が自分自身と家族の理想的な健康のために十分な栄養を摂れるように施策を講じましょう。

さらにすべての女性が家族計画の情報を得ることができるように、そして、母乳育児を続けることによって子どもを産む間隔が短くなるのを避けられるようにしましょう。

子どもを産む間隔が短くなると、女性やその子どもの健康や栄養状態を損なう可能性があるからです。

●すべての政府は国としての母乳育児の方針を立て、1990年代の間に国の適切な到達目標を決めるべきです(注:イノチェンティ宣言は1990年に承認されています)。

国は、到達目標に達することができるかどうか追跡するための国の制度を確立するべきです。

そして、産科医療施設から退院するときに完全に母乳だけを飲んでいる乳児はどのくらい、生後4ヵ月で完全に母乳だけを飲んでいる乳児はどのくらいといった指標を決めるべきでしょう。

● 政府当局にも働きかけて、総合的な健康と発達の方針の中に、母乳育児に関する方針を統合させるようにしましょう。

そうすることで、妊娠中、産後のケア、栄養、家族計画、よくある母親や子どもの病気の予防と治療といった、相互補完的なプログラムの中で、母乳育児を保護し、推進し、支援するすべての行動を強化していくべきです。

また、すべての保健医療スタッフは、こうした母乳育児の方針を実行するために必要なスキルを磨くトレーニングを受けるべきでしょう。

実践可能な目標

すべての政府が1995年までに、適切な専門家の中から国の母乳育児のコーディネーターを任命しておきましょう。

そして母乳育児に関連のある政府の部門、NGO(非政府団体)、保健医療の協会出身の代表者から構成されるさまざまな分野を生かした、国の母乳育児委員会を設立しておきましょう。

WHOとユニセフの共同声明「母乳育児の保護、推進、支援:母乳育児成功のために:産科医療施設の特別な役割」に述べられている「母乳育児を成功させるための10ヵ条」の10ヵ条すべてが、どの施設でも完全に実践できるようにしておきましょう。

「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」と世界保健会議の決議案のすべての条項の原理と目的が達成されるよう行動を起こしましょう。

そして、働く女性が母乳育児を続ける権利を守る独創的な法律が成立し、施行されるための手段を講じておきましょう。

 

私たちはまた、国際的な団体に次のようなことをお願いします

母乳育児を保護し、推進し、支援するための行動戦略を練りましょう。

これはそれぞれの方策を世界規模で監視し評価することも含みます。

国の状況を分析し、調査をし、国の目標や行動の到達目標を定め、後押ししましょう。

母乳育児に関する国の方針を計画、実施、追跡、評価するように政府当局を奨励し、支持しましょう。

 

イノチェンティ宣言は、「1990年代の母乳育児:世界規模のイニシアチブ」に関してWHOとユニセフの方針作成者の会議で、参加者によって作成、承認されました。

この会議は、米国国際開発庁(A.I.D.)、スウェーデン国際発展オーソリティ(SIDA)が共同スポンサーとなり、1990年7月30日から8月1日にかけてイタリアのフローレンスのスペッダーレ・デリ・イノチェンティ(捨て子養育院)において開かれました。

(訳注:ここは、1419年にできた捨て子養育院です。その中にイノチェンティ・リサーチ・センターというユニセフの研究機関があります。

(http://www.unicef-icdc.org/aboutIRC/)

 

この宣言は、会議のために用意された文書、および分科会、全体会で出された考え方を反映しています。

 

2003年1月

翻訳:母乳育児支援ネットワーク

協力:日本ラクテーション・コンサルタント協会、ラ・レーチェ・リーグ日本

(金森あかね、瀬尾智子、本郷寛子、山崎陽美)

生後6ヵ月間は母乳だけでOK! 安全、安心、持続可能なゴールド・スタンダード WABA2004

Index
金色のリボン2004family_eng180
母乳だけで赤ちゃんを育てる…
なぜ、多くの赤ちゃんが母乳だけで育てられていないのでしょうか?
「ゴールド・スタンダード」を成し遂げましょう
こうすれば、母乳育児はうまくいきます
以下のようなことがあると、ゴールド・スタンダードを満たせません
仕事は母乳育児の障害にはなりません
気遣いのある環境
生後6ヵ月間も母乳だけで育てることなんてできるの?
行動のためのアイデア
特別な状況で「母乳だけで赤ちゃんを育てる」
参考文献
医療・保健従事者、地域やお母さんのサポートグループのための情報源―困ったときはこちらへ


金色のリボン

最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、その「ゴールド・スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

リボンの対の輪はそれぞれ、お母さんと子どもを示しています。そして真ん中の結び目は、それを支えるお父さん、家族、社会を表します。リボンの端はそれぞれ、生後6カ月以降赤ちゃんの成長に合わせて与える補完食と、母乳育児を続けることできょうだいの年がちょうどよく3~5歳離れることを示しています。

このリボンは、WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している、人種や国境を超える世界的な運動の象徴なのです。誇りを持って金色のリボンを身につけ、このリボンの持つ多くの意味を皆に説明しましょう。

さらに詳しい情報をご希望の方は www.unicef.org/programme/breastfeeding/bow.htmやwww.waba.org.my/form2/goldenbow.htmを参照してください。

ちゃんが生まれてからの6ヵ月間、母乳だけで育てるのは、安全で、安心で、持続可能な育て方です。しかも、母乳育児が大切なのは、最初の6ヵ月に限られたことではありません。WHO(世界保健機関)とユニセフ (国連児童基金)では、適切な補完食(離乳食)を食べさせながら、母乳育児を2年以上続けることを勧めています[1]。このように育てると、赤ちゃんは本来の理想的な発達を遂げます。けれど、生後6ヵ月間母乳だけで赤ちゃんを育て、その後も母乳育児を続けるためには、母乳育児の大切さや実践方法を知ること、適切なサポートを受けることが必要です。

「生後6ヵ月間母乳を飲むことで、赤ちゃんはこの期間に通常必要としているすべてのものを摂取することができ、他の余分な飲み物も食べ物も必要ない」という点で、現在、専門家たちの意見は一致しています[2]、[3]。ここでいう「母乳だけで赤ちゃんを育てる」とは、赤ちゃんが、お母さんや乳母の乳房から直接飲む、あるいは搾乳されたもの以外は何も口にしないことを指します[4]。

多くの場合、いざやってみれば、生後6ヵ月間、母乳だけで育てることはとても楽なものです。赤ちゃんの食べ物や飲み物が足りているか、与えてよいものなのかなどと心をわずらわせる必要もなく、赤ちゃんに余分な食べ物や飲み物を与えるためにかかる手間も費用も省くことができるのですから。

残念なことに、多くの国では、「母乳だけで赤ちゃんを育てる」のは珍しいことになっています。そこで今年は、以下の3点を、誰もができるようにお手伝いすることを、世界母乳育児週間の目標とします。その3点とは、 1.「母乳だけで育てる」ことを理解すること。 2.その利点を信じること。 3.できる限り、お母さんがそうできるように支え、励ましていくことです。

topへ戻る

母乳だけで赤ちゃんを育てる…安全です

母乳は単なる食べ物以上のものです。母乳は生きています。多くの免疫物質を含み、赤ちゃんがまだ自分を守ることができない時期(注:自分で免疫を作り出すことがまだできない時期のこと)に、赤ちゃんを常に積極的に感染から守ってくれます[5]。生後数日間、お母さんは抗体を非常に多く含む初乳を通して、理想的な免疫を赤ちゃんに与えます。初乳の量は少ないですが、それが、この時期に赤ちゃんが必要とする量なのです。母乳だけで育てられた子どもは、より健康です。人工栄養や混合栄養で育てられた子どもは、下痢や肺炎、その他の感染症にかかる回数が多くなります[6]。

母乳だけで育てる…安心です

母乳には、赤ちゃんが生後6ヵ月間に必要とする適切な量のカロリー、タンパク質、ビタミンと他の栄養素[7]に加え、必要な水分のすべてが含まれています[8]。母乳は赤ちゃんにとって完璧な栄養となり、他のいかなる動物の「乳」や食べ物よりも容易に、そして完全に消化されます。母乳で育てられた赤ちゃんは、大きくなっても人工乳で育てられた赤ちゃんに比べて肥満になりにくいのです。またアレルギーになりにくく、知能テストの得点もより高いことが研究でわかっています[6]。

母乳だけで育てる…「持続可能」です

お母さんがどのような組み合わせで食材を食べても、栄養豊富な母乳は作られ続けます。どんなに質素な食べ物であっても大丈夫です。人工乳にかかる費用を心配する必要もありません。お母さんの食費が多少増えますが、わずかな出費ですみます。

母乳だけで育てる…お母さんにとっても重要です

母乳だけで育てていると、産後6ヵ月間は月経が再開しにくいので、早すぎる次の妊娠を防ぎます。そして、妊娠中に増加した余分な体重を落とすのを助けます。女性は母乳を与えることで乳がんと卵巣がんのリスクが減り、おそらく骨粗しょう症のリスクも減ります[6]。

世界的な運動戦略

2002年に、WHOとユニセフは、「乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略」[1]を発表しました。これは、政府その他の国家機関に対し、母乳育児を徹底するために必要な措置を求めています。つまり、すべての保健衛生及びその関係部局が、お母さんが生後6ヵ月までは母乳だけで赤ちゃんを育て、その後も2歳、あるいはそれ以降まで与え続けられるように、保護、推進、支援すること、そして、女性がその目標を達成するために家庭で、地域で、職場で必要とする支援を受けられるようにすることです。

 

topへ戻る

なぜ、多くの赤ちゃんが母乳だけで育てられていないのでしょうか?

●「母乳だけで育てる」とはどのようなことなのか、そして、いかにそれが重要なことであるか、お母さん、保健・医療の専門家、家族と地域住民が、理解していないからです。母乳だけで育てるために、どのようにしたら最もうまくいくか、どのように始めればいいのか、そして、お母さんが困ったときにどうしたらいいのかが、よく知られていないのです。そのため、お母さんに必要なアドバイスと支2004_bfhi援を提供することができません。
●生後6ヵ月の間母乳だけで育てることが可能であり、お母さんの母乳だけで足りるということ、つまり、誰でも十分な量の母乳が出るということを、お母さん自身も、保健・医療の専門家、家族と地域住民も信じていないからです。わずかな量でも、余分な食べ物や飲み物を足すことが、実際には赤ちゃんに害があるかもしれないことに気がついていません。
●赤ちゃんが生後6ヵ月になるより前に、自宅内外のどちらにせよ、仕事に戻る必要があるからです。
●企業の宣伝に、母乳だけよりも、人工乳を足したほうがいいというメッセージが含まれているからです。

topへ戻る

「ゴールド・スタンダード」を成し遂げましょう「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」を社会の常識に

お母さんが赤ちゃんを母乳だけで育てられるように、そして母乳以外のものを与えたくなるような誘惑や圧力に負けないようにするために、お母さんには「正確な知識」と「応援してくれる環境」が必要です。
「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」が社会の常識となっていれば、また、家族や地域社会や保健・医療従事者が正確な情報を持っていれば、母乳だけで育てることが可能となります。

こうすれば、母乳育児はうまくいきます

2004support ●お母さんと赤ちゃんが出産直後から肌と肌をふれあい、約1時間以内に最初の授乳を開始できるとき[10]。こうすると母乳産生が促され、赤ちゃんが初乳を飲むことができます。

●赤ちゃんが適切に乳房を深く口に含み、効果的にごくんごくんとゆっくり母乳を飲み込むことができるとき[11]。
●夜も昼も、赤ちゃんが欲しがるときにはいつでも母乳を飲めるとき。これは「自律授乳」もしくは「欲しがるときに欲しがるだけの授乳」と呼ばれます。そのためには、赤ちゃんがベッドやスリング(訳注:新生児から使えるハンモック風の抱っこひも)でお母さんのそばにいるのが一番です。
●常に、赤ちゃんが自分で、どちらかの、もしくは両方の乳房をどのくらいの時間吸うか決められるとき。
●赤ちゃんに、おしゃぶりが与えられていないとき。おしゃぶりを与えるとお母さんの乳房を吸う興味を失ってしまいます。

このような飲み方ができればたくさんの母乳が得られ、赤ちゃんはより満足してよく育つでしょう。赤ちゃんは1日に少なくとも6回おしっこをして、軟らかい便を何回もします。といっても、生後数週間してからは、便が毎日出なくても心配ありません。
このような母乳育児は、お母さんと赤ちゃんの心のきずなを深めます。そして、お母さんが子育てを楽しめるようになり、自尊感情(自分を大切に思える心)を高めます。

topへ戻る

以下のようなことがあると、ゴールド・スタンダードを満たせません

他の食べ物や飲み物が生後6ヵ月の間に与えられると、その分、母乳を飲めなくなってしまいますから、栄養的に「ゴールド・スタンダード」に及ばなくなります。赤ちゃんが吸う回数が減ると、母乳が乳房にとどまるため、乳房が張りすぎたり、はれたりしてしまうかもしれません。そして、母乳の出が悪くなり、お母さんは自分の母乳だけでは足りないと思うかもしれません。赤ちゃんは、母乳だけで育てる場合ほど成長せず、病気にかかりやすくなります。
同様に、適切に乳房を口に含んでいない赤ちゃんは、何回もおっぱいを飲んでいても満足していないかもしれません。そして、お母さんは母乳が足りないと誤解して、他の食べ物を与えるかもしれません。適切に含んでいればこのようなことは避けられ、さらには乳頭が痛くなったり、乳腺炎になったりせずにすみます。

仕事は母乳育児の障害にはなりません

すぐに職場に復帰する必要のない女性や、赤ちゃんとほとんど一緒にいることができる女性であれば、赤ちゃんが生後6ヵ月になるまで母乳だけで育てることは、さほど難しくないかもしれません。お母さんが出産の後、すぐに仕事に戻らなければならない場合は、より十分な準備と支援が必要です。留守中はしぼっておいた母乳を与えてもらおうと考えるお母さんもいるでしょう。搾乳に必要なのは大がかりな設備ではなく、プライバシーが守られ、便利に搾乳できるようなお母さんに優しい職場のあり方なのです。このような職場であれば、お母さんは自信を持って搾乳を続けられるでしょう。

気遣いのある環境

出産の前、最中、後、そして母乳育児中のお母さんは、サポートを受け、安心感を得ることが必要です。陣痛に付き添ってもらって励まされたり、分娩の渦中の緊張を和らげてもらったりすることで、出産直後からの母乳育児への準備ができるようになります[12]。保健・医療の専門家、家族や地域住民、お母さんどうしの支援グループは、お母さんの不安に耳を傾け、母乳だけで育てられる自信をお母さんがもてるようにするという方法で、力になることができます。また、家事や他の家族の世話に追われる重荷を減らす手助けを必要としていることもあるでしょう。

topへ戻る

生後6ヵ月間も母乳だけで育てることなんてできるの? もちろんできます!

2004mumこのことはこれまでにも、繰り返し実証されています。お母さんが母乳だけで育てる意義を理解し、そのためのサポートが得られれば、それは可能なのです。お母さんをサポートするグループでは、参加するお母さんが「母乳だけで赤ちゃんを育てる」ことができるようになるのを常に目の当たりにしています。

地域の人、ピアカウンセラー(相談に乗ってくれる仲間)、プライマリーケアのスタッフに力づけられたり、援助してもらったりすることで、より多くのお母さんが母乳だけで子育てができるようになっています。(訳注:プライマリーケア

とは、地域住民に最も近い「かかりつけ」の立場で、そのときどきで必要とされる医療・保健上のアドバイスやケアを提供すること)以下に、いくつかの事例を紹介します。

  ガンビアでは、親どうしのサポートグループのような「地域支援グループ」が、正確な情報を伝え、母乳育児サポートのための適切なスキルを使ってお母さんを援助するためのトレーニングを受けました。その結果、産後1時間以内に初めての授乳をするお母さんが増え、99.5%が生後4ヵ月間、母乳だけで赤ちゃんを育てるようになったのです。この率は、他の村ではわずか1.3%に過ぎませんでした。現在では、ガンビアの200以上の地域が、「赤ちゃんにやさしい地域」となっています。

Semega Janneh IJ et al, Health Policy and Planning, 2001(2) pages 199-205

 

  ガーナでは、さまざまな方法を使い、講習会や研修をおこなって、祖母、お父さん、メディアを含むより広い共同体に情報が提供されました。そして複数の母親どうしのサポートグループが生まれています。生後5ヵ月の時点で母乳だけで赤ちゃんを育てているお母さんの数は、2年間で44%から78%まで増加しました。

LINKAGES project Country Activities Report

www.linkagesproject.org/country/ghana.php

 

  ガーナでは、女性の経済活動を助けるために村内銀行が女性に少額ローンを設けました。その女性たちは、保健衛生と小児栄養の教育を受けました。母乳だけで赤ちゃんを育てる平均期間は1.7ヵ月から4.2ヵ月にまで延び、1歳の時点での子どもの栄養状態が改善されました。

MkNelly B and Dunford C. Freedom from Hunger Research Paper 4, 1998

 

  インドでは、保健衛生や栄養を担当する職員が工夫して、他のプライマリーケアの仕事の合間に、母乳育児について、お母さんにカウンセリングをおこなうようになりました。6ヵ月の時点で、カウンセリングを受けたお母さんでは42%が母乳だけで育てていましたが、受けなかったお母さんでは4%だけでした。

Nita Bhandari et al. The Lancet 2003; vol 361: pages 1418-23

 

  バングラデシュでは、地元のお母さんが、母乳育児をするためのピアカウンセラーとしてトレーニングを受けました。妊娠中から訪問を始め、産後5ヵ月まで合計15回の訪問をするピア・カウンセリング・プログラムです。カウンセリングを受けたお母さんは、授乳の開始が早まり、70%が生後5ヵ月間母乳だけで赤ちゃんを育てました。カウンセリングを受けなかったお母さんでは、同じ生後5ヵ月間、母乳だけで赤ちゃんを育てた割合がわずか6%でした。

Haider R et al. Lancet 2000; 356: 1643-1647

 

 メキシコでは、地元のお母さんが、家庭訪問して母乳育児の相談に乗れるようなトレーニングを受けました。家庭訪問を受けなかったお母さんで、母乳だけで赤ちゃんを育てたのは12%でした。一方、この数字は、3回の訪問を受けたお母さんでは50%に、6回の訪問を受けたお母さんでは67%に上がりました。

Ardythe Morrow et al. The Lancet 1999. Vol 353 pages 1226-31

 

 ベラルーシでは、16の「赤ちゃんにやさしい病院」で出産したお母さんの43%が、生後3ヵ月の時点で母乳だけで育てていましたが、そうでない15の病院では母乳だけのお母さんは6%しかいませんでした。Kramer MS, et al. Journal of the American Medical Association 2001; vol 285:pages 413-20

 

 ボリビア、ギニア、インド、ニカラグアでは、Save the Children やCAREといったNGOが医療・保健従事者やコミュニティ・ワーカー(地域で支援する人たち)をトレーニングすることで、祖母や父親、男性グループやお母さんどうしのサポートグループをも巻き込んで、地域の支援運動を展開しました。ギニアでは、母乳だけで赤ちゃんを育てる比率は11%から44%まで増加しました。インドでは41%から71%、ニカラグアでは10%から50%に増加しています。ボリビアでは、 ラパスの低所得地区における地域活動にサポートグループが加わると、下痢の罹患率は半分になり、生後6ヵ月未満の赤ちゃんが母乳だけで育てられる割合は75%以上にまで増えました

Save the Children final evaluation, Mandiana Prefecture, Guinea.CARE India, Nicaragua and Bolivia, Final Evaluation of Child Survival Projects, 2002 and 2003.

 

 フィリピンでは、働く女性でも母乳育児を続けられるような「赤ちゃんにやさしい」保育所が作られました。お母さんは、好きなときに立ち寄って授乳することもできるし、しぼった母乳を預けたり、乳母に授乳を頼んだりすることができます。生後6ヵ月以降の赤ちゃんのための固形の補完食は、地元の自然な材料から作られていました。

http://www.waba.org.my/whatwedo/womenandwork/wnwaboutus.htm

 

 ノルウェーとスウェーデンでは、母乳育児の割合はヨーロッパの他の地域よりはるかに高いです。 理由の1つは、保健衛生当局がお母さんの組織と相談しながら事業を進めているからです。当局はお母さんからの意見や評価によく耳を傾け、尊重し、理解を示すようにしています。

The breastfeeding investigation in year 2000. Eide I, et al. Report submittedto the Board of Health, Norway, May 2003.

topへ戻る

行動のためのアイデア

研究者のみなさんへ

母乳だけで赤ちゃんを育てること」が、どの程度実践されているか、そして日本では何が主な障害となっているのかを、簡単に評価してみてください。

政府関係者のみなさんへ

「世界的な運動戦略」と、「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」を政策と計画に組み込みましょう。

具体的には:

●保健・医療従事者のための母乳育児援助トレーニングを改善し、母乳育児に関連したグループのために講演や話し合いの場の手配を申し出ましょう。
●「母乳だけで赤ちゃんを育てること」を容易にする育児休業の立法に向けて活動しましょう。
●「母乳代用品の販売流通に関する国際規準(WHO規準)」を採択・施行するために活動しましょう。
●「母乳だけで赤ちゃんを育てること」について、全国あるいは一地方での実施率や、その調査研究があるかどうかを確認しましょう。
(このパンフレットに挙げた資料とインターネットを確認しましょう)2004action

保健・医療専門家のみなさんへ

●自分が現状を見つめなおし、最新の「知識・技能・心構え」を採り入れて、「母乳だけで赤ちゃんを育てること」を可能にするために必要なリーダーシップと技術的な支援を提供しましょう。あなたの病院が「赤ちゃんにやさしい」かどうか、「母乳育児を成功させるための10ヵ条」を実践しているかどうか、確認しましょう[10]。母乳代用品の製造業者、または販売業者からのポスターや”教材”を使用しないようにしましょう。
●あなたの職場の同僚には「世界的な運動戦略」の情報が届いているでしょうか?職場で「世界的な運動戦略」の実現をするためには、どうすればいいでしょうか?病棟のスタッフだけではなく、新生児特別治療室(Special Baby Care Units)や外来、さらには清掃員などお母さんと会話をして影響を与えそうな職員も含めた病院のスタッフと話し合いの機会を持ちましょう。
●近代的な教育を受けた助産師だけではなく、昔ながらの「お産婆さん」も、「母乳だけで赤ちゃんを育てること」や早期授乳のこと、授乳時の赤ちゃんの抱き方や乳房の含ませ方についての勉強会に招いたり最新情報に触れてもらったりしましょう。
●あなたが担当しているお母さんに、今母乳で育てているかどうか、上の子どものときはどうだったのか、つまり「母乳だけ」だったのか、混合栄養だったのか、人工栄養だったのかを尋ねてみましょう。そして、なぜそうなったのかをお母さんから教わりましょう。
●「赤ちゃんにやさしい病院」とそうでない病院の「母乳だけで赤ちゃんを育てる割合を比べましょう。
●出産前後の母親教室や外来で「母乳だけで赤ちゃんを育てること」について話し合いましょう。どのようにしたらできるようになるか、また、どのようにしたらもっと母乳が出るようになるか、 お母さんに説明しましょう。

赤ちゃんと離れて働くお母さんへ

●職場や地域で、妊娠している女性や授乳中の女性、あるいは、女性に限らず母乳育児に理解のある男性に連絡を取ってみましょう。自分の子育てや搾乳について、どのような選択をしたのか、うまくいったところや苦労したことなどの経験談を聞きましょう。
●人事担当者に対して、「母乳だけで赤ちゃんを育てること」という問題提起をし、授乳や搾乳のための休憩時間、職場内保育室、授乳室など、お母さんを外部から支援する方法について話し合いましょう。母乳育児の方針を確立しましょう。

地域のグループ、お母さんのサポートグループ、その他の団体へ

●自分たちの考えを、祖父母、赤ちゃんのお父さん、その他の男性に伝え、彼らの考えも聞いてみましょう。親どうし、祖父母どうしのサポートグループを育てましょう。支援するためのスキルを高めあい、お母さんが母乳だけで赤ちゃんを育てることができるように、よりよいサポートができるような方法を模索しましょう。
●近隣の、母乳育児相談などお母さんのケアをする場や保育園について、「母乳だけで赤ちゃんを育てる」ためにどのようにサポートしているかという観点から「採点」してみましょう。しっかりサポートしてくれる施設を公表しましょう。
●あなたのグループや「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」について、一般の認識を高めるキャンペーンや催し物を開催しましょう。「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」を推進するような楽しいプログラム(例えば、歌、寸劇、ダンス)を計画しましょう。
●生後6ヵ月間母乳だけで育てられた赤ちゃんのための卒業式を企画しましょう。きょうだい同時期の母乳育児であっても、生後6ヵ月間、母乳だけで子育てができた家族を、「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」の1つのモデルとして紹介しましょう。
●母乳代用品の広告がマスコミや地域の保健センターにないかどうか目を光らせましょう。これを規制する法律があるか調べましょう。
●赤ちゃんのお父さん、それ以外の家族、友人、地域から、どんなサポートを現実に受け、理想として求めているか、また、それが2004_1お母さんの選択にどのような影響を及ぼしたかを女性に尋ねましょう。
●インターネットを通じて情報を共有したり、メーリングリストを作ったりしましょう。

教育者と教師のみなさんへ

●医療、保健、生物学といった分野の教師に「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」について学んでもらえるようなきっかけをつくりましょう。その人たちにこのパンフレットを渡しましょう。
●学生、従業員、宗教団体、女性団体にも理解を呼びかけましょう。母乳育児を知ってもらうために、お母さんと赤ちゃんを伴って訪ねて母乳育児を見てもらい、「母乳だけで赤ちゃんを育てること」の価値と実用性を話し合いましょう。
●「生後6ヵ月までは母乳だけでOK!」を推進するポスターやちらしをデザインする際に、スタッフや学生を巻き込みましょう。そして、あなたの勤務先(大学、学校その他の教育機関)に展示したり、配布したりしましょう。

topへ戻る

 母乳だけで育てるには、まず、赤ちゃんが乳房をきちんと口に含んでいることが大切です

2004feed_closeup◆赤ちゃんの上唇側の乳輪は見えているが、下唇側では乳輪がより深く入った状態で見えにくい
◆赤ちゃんの口は大きく開いている
◆下唇が内側に巻き込まれていない
◆下あごが乳房に触れている

効果的に吸っているサイン
◆時々休みながら、ゆっくり深く吸う

授乳のときの適切な抱き方と赤ちゃんの位置
◆赤ちゃんの体はまっすぐ(曲げたり、ねじったりしていない)
◆赤ちゃんの顔が乳房に正面から向き合い、はじめは、赤ちゃんの鼻は、乳頭の先に触れている(目はお母さんの目を見上げている)
◆赤ちゃんの体はお母さんの体にぴったりくっついている
◆赤ちゃんの頭やお尻だけでなく全身が支えられている

topへ戻る

特別な状況で「母乳だけで赤ちゃんを育てる」

「母乳だけで赤ちゃんを育てること」とHIV

HIV陽性のお母さんが授乳した場合、10~20%の赤ちゃんは感染する可能性があります。しかし、そのためにお母さんが赤ちゃんに母乳を与えないという選択をしたとしても、赤ちゃんは人工栄養によるあらゆる危険にさらされることになります。それは、安全に人工乳を準備することが困難な場合、また、感染症の危険が高い場合、特に深刻です。

個別の状況に応じて、最適な乳児栄養の方法を決めるために、HIV陽性のお母さんはカウンセリングを必要とします。その後も、選択した方法を可能な限り安全に行うためには、熟練した支援が必要です。(13)

以下のような方法も、感染の危険を減らします。

●母乳だけを与えます。
●適切なテクニックを用いて授乳し、乳腺炎や乳頭痛を予防します。
●母乳育児を早めに切り上げます。持続可能で安全である代用栄養が経済的に、また現実として無理なく手に入るようになりしだい、そうでなくても生後6ヵ月ごろがいいでしょう。
お母さんが、自分がHIV陽性か陰性かがわからない場合は、「ゴールド・スタンダード」に沿って母乳育児をするのがいいでしょう。

低出生体重児(LBW:出生体重2500g未満)の場合でも、母乳だけで育てられると、発育も健康状態も、より良好になります。出生直後の数日間、赤ちゃんの状態が落ち着くまでは、母乳以外の栄養補助が必要かもしれません。(14)カルシウムやリン酸塩のようなサプリメント(栄養補助食品)は必要に応じて、母乳に合わせて与えることができます。胎内でお母さんからもらう貯蔵鉄が一般より少ないので、鉄分の補充が生後約8週目から必要かもしれません。

早産児のうち、8週間早く生まれた赤ちゃんは、乳房を吸うことができます。4週間早く生まれた赤ちゃんは、完全に乳房から栄養を取ることができます。大きな赤ちゃんと比べてより頻繁に、長い時間をかけて母乳を飲む必要があるかもしれません。赤ちゃんが乳房から直接飲むだけでは不十分な場合、お母さんが搾乳してその母乳をコップであげることもできます。(訳注:これをカップ・フィーディングといいます)搾乳とカップ・フィーディングを学んだお母さんが、他のお母さんに非常に上手に教えたり、助けたりすることもよくあります。

日光を浴びない赤ちゃんの場合は、ビタミンDを与えることで、クル病(ビタミンDの欠乏により骨が弱くなる病気)を予防する効果が得られるかもしれません。(3)

参考文献

1. WHO/UNICEF Global Strategy for Infant and Young Child Feeding. 2002
World Health Organization, Geneva
2. The optimal duration of exclusive breastfeeding: A systematic review.
2001 World Health Organization, Geneva WHO/FCH/CAH/01.23, and WHO/NHD/01.08
3. Butte NF, Lopez-Alarcon MG, Garza C. Nutritional adequacy of exclusive
breastfeeding for the term infant during the first 6 months of life. 2002
World Health Organization, Geneva
4. Indicators for assessing breastfeeding practices. World Health Organisation,
Geneva WHO/CDD/SER/91.14
5. Hanson LA, Human milk and host defence: immediate and long-term effects.
Acta Pediatrica 1999; 88:42-6
6. Leon-Cava, Natalia. Quantifying the benefits of breastfeeding: A summary
of the evidence. 2002 The LINKAGES Project, Academy for Educational Development
7. Prentice A. Constituents of human milk. Food and Nutrition Bulletin
1996; 17(4). 305-312
8. Martines J, Rae M, de Zoysa I. Breastfeeding in the first six months.
No need for extra fluids. British Medical Journal 1992 (304):1068-1069
9. Labbok M. The lactational amenorrhoea method (LAM). A postpartum introductory
family planning method with policy and programme implications. Advances
in Contraception, 1994, 10(2):93-109
10. Evidence for the Ten Steps to Successful Breastfeeding. Division of
Child Health and Development, World Health Organization WHO/CHD/98.9
11. Woolridge MW. The “anatomy” of infant sucking. Midwifery
1986, pages 164-171
12. Kroeger,M. Impact of birthing practices on breastfeeding: protecting
the mother and baby continuum. 2004 Jones and Bartlett
13. Coutsoudis A, Pillay K, Kuhn L. Spooner E, Tsai Wei-Yann and Coovadia
HM for the South African Vitamin A Study Group. Method of feeding and transmission
of HIV-1 from mothers to children by 15 months of age: prospective cohort
study from Durban, South Africa. AIDS 2001; 15:379-387
14. Hypoglycaemia of the newborn: A review of the literature. World Health
Organization, Division of Child Health and Development. WHO/CHD/97.1

医療・保健従事者、地域やお母さんのサポートグループのための情報源―困ったときはこちらへ

WHO/UNICEF Breastfeeding Counselling: a training course. WHO/CDR/93.3-6
World Health Organization training course materials and technical documents   and
LINKAGES ToT for mother support groups  (pdfファイル)
La Leche League International: useful information on many practical aspects
of breastfeeding      ラ・レーチェ・リーグ日本
Breastfeeding Women at Work
unicef_logo「母乳だけで赤ちゃんを育てること」に関する情報や支援をさらに詳しく知りたい方は、地域のユニセフ事務所や委員会にご連絡ください。詳細はユニセフのウェブサイトをご覧ください。<www.unisef.org/infobycountry/index.html>

その他母乳育児については、<www.unicef.org/nutrition/index_action.html>をご参照ください。

waba_logo世界母乳育児行動連盟(WABA)は、母乳育児を保護・推進・支援する個人と組織の世界的なネットワークです。WABAの活動は、「イノチェンティ宣言」、「すばらしい未来を作り出すための10のリンク(連結)」、「乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略」に基づいています。中心となる仲間は、国際乳児用食品行動ネットワーク(IBFAN)、ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(LLLI)、国際ラクテーション・コンサルタント協会(ILCA)、Wellstart  Internationalウエル・スタート・インターナショナル、母乳育児医学アカデミー(ABM)、LINKAGES(アメリカの国際開発局の乳幼児栄養改善に関するプロジェクト)です。WABAは、ユニセフ(国連児童基金)の諮問資格を有し、また国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格を持つNGOです。2004babydrum

WABAはいかなる形でも、母乳代用品、関連する器具や母乳育児中の母親に対する商業的な食品、商業的な補完食(離乳食)を生産、販売流通する企業からの資金援助や寄贈はお断りしています。WABAは世界母乳週間の参加者全員が、この倫理上の立場に従い、これに敬意を払ってくださるようお願いしています。

このプロジェクトはオランダ外務省(DGIS)の資金提供とユニセフの支援を受けています。しかし、このパンフレットの内容は必ずしも両者の方針や見解を反映しているわけではありません。

国際規準違反報告フォーム

母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」の違反を日本語で報告できます。

アイコンまたはこちらをクリックするとフォームが開きます。ご協力をお願いいたします。

 

最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

Facebook 母と子の育児支援ネットワーク(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会)

ページ上部へ戻る