サポーターチェックリスト解説

「この人は私が母乳をあげるための応援団になってくれるかしら??」
医療・保健関係者が、あなたの母乳育児を支援してくれるかのチェック・ポイント

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「私は母乳育児を支持しています」と言わない医療・保健関係者はいません。
しかし、そういう人たちの多くは、母乳育児がうまくいっているときは応援してくれますが、中にはうまくいっているときでさえ応援してくれない人もいます。
以下は、医師・看護師・助産師・保健師があなたの母乳育児を応援してくれるかどうかをチェックするためのリストです。

 

1.その人は、妊娠中や出産後に人工乳のサンプルや乳業会社が作ったパンフレットをくれましたか?

これらのサンプルはや文書は、そこの製品を使ってもらおうとして作られたものです。
サンプルや文書で製品を使ってもらおうとすることを販売促進といいます。
どこの会社の製品が、どこの会社の製品よりもいいとか悪いとかいう明白な根拠はありません。
サンプルについてくる文書やビデオは、静かに、そして暗に、母乳育児をおとしめ、人工乳を賛美しようとするものです。
もしこのことが信じられないのだったら,自分自身にこう尋ねてみてください。
なぜ粉ミルク会社は、他の会社ではなく、その会社のパンフレットやサンプルを医師や病院が配ってくれるように、そんなに苦心しているのか?
粉ミルク会社の自社製品の販売促進に対抗して、保健・医療関係者が母乳育児を販売促進しないのはなぜなのか?

2.その人は「母乳と人工乳は基本的には同じです」とあなたに言いましたか?

粉ミルクで育てられた赤ちゃんのほとんどは、健康に育っていますし、母乳で育てられた赤ちゃんの中にも病気になってしまう赤ちゃんもいます。
しかし、だからといって、母乳と粉ミルクは基本的には同じであるとはいえません。
粉ミルクというのは、ここ数年の間に私たちが母乳について知ったことを、大雑把に真似したものにすぎません。
そして私たちは母乳について、そのすべてを知ったとはまだいえず、常に、その成り立ちについての新しい発見に驚かされている段階です。
この違いは健康に重要な違いをもたらします。
母乳の中のある種の要素は、人工乳には含まれませんし、その中には、ここ数年になってはじめてその重要性を私たちが認識したようなものも含まれています。
例えば、抗生物質や感染から赤ちゃんを守る免疫物資、赤ちゃんの視覚や脳の発達を促す長鎖多価不飽和脂肪酸(long chain polyunsaturated fatty acid)などです。
そして、母乳育児は粉ミルクを与えることと同じではありません。
全く違う赤ちゃんとお母さんの関係なのです。
母乳を与えられなかったとしたら、(ほとんどの場合、母乳を与えられないという事態は避けられたはずなのですが)それは不幸なことですが、それは子どもを育てることに影響があるとか、悪いことだとかいうことではないのです。
子どもが幸せに育っていくために母乳育児が絶対必要ということではありませんが、母乳育児は有利なのです。

3.その人は、ある特定の会社の名前だけをあげて「○○会社の人工乳が一番です」とあなたに言いましたか?

こういう人はどんな人でしょうか?
ある特定の会社の営業の話だけを聞きすぎている人ではないでしょうか?
または、その人の子どもがその会社の粉ミルクを他の会社のものよりは好んだということかもしれません。
その人が、自分が持つある会社に偏った見方を克服していないのかもしれません。

4.その人は「赤ちゃんには出産直後に母乳をあげる必要はない」とあなたに言いましたか?

もしかして、出産で疲れていて、赤ちゃんが母乳にあまり関心を持っていないこともあるかもしれません。
絶対に必要ではないかもしれませんが、母乳育児を続けていくための助けになります。
赤ちゃんはお母さんが横になったり、寝ている間でも、母乳を吸うことができます。
ただし、ほとんどのお母さんは、このような瞬間に寝ていられないと思うものですが。
赤ちゃんは必ずしもすぐにおっぱいに関心を示さないものです。
しかし、だからといって赤ちゃんとお母さんの最初の授乳という貴重な機会を無駄にする理由にはなりません。
多くの赤ちゃんは、出産から1時間から2時間のうちに吸いつこうとし、これがうまくスタートするのに最適な機会です。
しかし、お母さんから離されていたとしたら、このタイミングを逃してしまいます。

5.その人は「人工乳首を使うと赤ちゃんが混乱して母乳育児が難しくなるなんてことはない」とあなたに言いましたか?

「人工乳首を使っても母乳育児が難しくなるなんてことはないし、むしろ赤ちゃんが人工乳首に慣れるように早く哺乳瓶も使った方がいいよ」と言われたことがある人も多いでしょう。
もし、人工乳首による混乱という問題がないとしたら、なぜそんなに早く哺乳瓶を使わなければならないのでしょうか?
乳首の混乱なんて問題はないという議論は本末転倒です。
人工乳首による混乱が問題なのではなく、問題にされるべきなのは人工的に作られた乳首そのものなのです。
人間が作るまではどんな哺乳類も用いたことがなく、その人間でさえ、19世紀末までは使うことがなかった、人工乳首の問題なのです。

しかし、人工乳首が母乳育児にとって害がないとは証明されてはいません。
人工乳首が害がないと考えている保健・医療関係者は、乳児栄養の正常な手段は母乳育児ではなく、粉ミルクで育てることが正常だと世界を捉えているようです。
もし、人工乳首を使った赤ちゃんの多くが母乳育児に問題があるとしても、人工乳首だけが理由だとも考えられません。
問題には複雑にいくつかの要因がからんでおり、人工乳首の使用は、問題であるとはいえその一つにすぎないのです。

人工乳首を使うことによる乳首の混乱* 人工乳首を赤ちゃんが吸うことで、お母さんの乳首を嫌がったり、人工乳首での違う吸い方が影響して母乳をうまく吸えなくなってしまう問題を指します

6.その人はあなたや赤ちゃんが病気のときに「病気だから母乳はやめなければいけません」とあなたに指導しましたか?

「病気だから母乳はやめなければいけません」とか、「お母さんが薬を飲む間は赤ちゃんに母乳をあげてはいけません」とか「医療的な検査を受ける必要があるから、赤ちゃんに母乳をあげてはいけません」ということもよく聞かれます。
母乳を与えてはいけない場合は、非常にまれなケースなのですが、医療・保健関係者は、何がなんでもだめ、あげたいなんていう母親がまちがっている、と考えがちです。
母乳育児を支援している保健・医療関係者は、いかにして母乳育児に影響がでないようにするかを考えてくれるものです。
(薬物ガイドをみるというのはあまりよい考えではありません。ほとんどの薬品会社はお母さんと赤ちゃんの健康を守るよりも、責任の追求から自分たちを守ることの方に関心があるからです。)
お母さんが薬物治療をしなければならないとき、保健・医療関係者は授乳をやめないでいいような薬を使おうとします。
(事実、授乳をやめなければならない薬の方が圧倒的に少ないのです)
ひとつの病気のために、一種類の薬しかないということはめったにありません。
保健・医療関係者の最初の選択が、授乳中止をあなたに迫るような選択であれば、その人は母乳育児の重要性について考えも及ばない人だと考えるの十分な理由があるといえるでしょう。

7.その人は生後6ヵ月以上の子どもにあなたが母乳をあげているのを知って驚きましたか?

多くの医療・保健関係者は、粉ミルクで育てられている赤ちゃんの場合には、少なくとも9ヵ月、長い場合は12ヵ月は与えるべきだと信じています。
しかし、なぜか母乳については、6ヵ月以上与える必要はないとか、かえって害になると信じているようです。
模造品がオリジナルより優れているということがありえるでしょうか?
このことの意味をよく吟味してみてください。
世界中のほとんどの国で、2歳から3歳まで母乳を与え続けることは、一般的で普通のことです。

8.その人は生後6ヵ月以降は母乳には何の栄養もないとあなたに言いましたか?

もしそれが正しいとしても、それでも母乳で育てるということの価値が減ってしまうことはないでしょう。
母乳育児は、「母乳」がないとしても、二人の人と人の間の愛を通した相互作用のプロセスだからです。
しかし、母乳には何の栄養もないというのはまちがいです。
母乳は、6ヵ月たとうが母乳ですし、脂肪、たんぱく質、カロリー、ビタミン、免疫物質や他の赤ちゃんを感染から守る物質を含んでいます。
中には、大きくなってからの方がより多く含まれる物質もあります。

9.その人は添い寝しながら授乳するなんてとんでもないとあなたに言いましたか?

なぜだめなのでしょうか?
母乳をあげなくても赤ちゃんが眠りに落ちるようならそれはそれで結構なことですが、母乳育児の利点のひとつは、赤ちゃんが眠るために便利な道具になるということです。
世界中のお母さんは、人類の歴史始まって以来、添い寝しながらおっぱいをあげてきたのです。
子育ての大きな喜びのひとつは、赤ちゃんを胸に抱いてその暖かさを感じながら、赤ちゃんが眠ってしまうのを感じていることです。
赤ちゃんにとっての、母乳育児の楽しさのひとつは、おっぱいを飲みながら胸で眠ることでしょう。

10.その人は、赤ちゃんが病気で入院しているときに「あなたが休むことが大事だから授乳のために病院に泊まったりしないでください」とあなたに言いましたか?

あなたが十分休むことはもちろん大事なことですが、母乳育児を支援している病院は、母乳育児を続けながら、病院であなたが十分に休養がとれるような配慮をしてくれるものです。
病気や障害を持っている赤ちゃんは、母乳を健康な赤ちゃんより必要としていないということはありません。
健康な赤ちゃんよりももっと必要としているのです。

How to Know a Health Professional is not Supportive of Breastfeeding

Written by Jack Newman, MD, FRCPC(翻訳 高橋万由美)
(母乳育児支援ネットワーク http://www.bonyuikuji.net/)

配布の許可は要りませんが、必ず上記のクレジットとともに配布してください。
配布の折には、配布する人・団体名・場所・対象・枚数・その他ご意見や感想を母乳育児支援ネットワークまでお知らせ頂ければ幸いです。

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最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

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