投稿者: bsn-admin

NOWの母乳育児支援宣言

NOW(National Organization for Women)とは、アメリカ最大規模の女性支援団体です。1966年の設立以来、法律・社会・政治・経済などあらゆる場面での性差別撤廃をめざして活発な運動を繰り広げています。

NOWはAAP(アメリカ小児科医協会)の母乳育児推奨方針を歓迎します。 

NOWは職場や社会が母乳育児についての母乳育児推進のこのような方針を支援するように求めます。

1997年12月3日

アメリカ小児科学会(American Academy of Pediatrics recommendations)による母乳育児の重要性について認識を高めるために必要な方針についての声明に関連して、 NOW(National organization of Women-はアメリカで最大の女性団体。1970年代からアメリカのフェミニスト運動の中心的な役割を担ってきた)活動副会長のエリザベス・トレドは、職場や社会がもっとこの声明に注目するよう訴えました。

「昨日、医学界がより長い母乳育児を支持する発言をしたことは進歩のしるしです。なぜなら、私たちの母の代の女性の多くは赤ちゃんを母乳で育てないように強い圧力を受けていたからです」
とトレドは語りました。
事実、トレドが最初の赤ちゃんを妊娠した時に参加した母親学級では「あなたのお母さんは母乳育児をしていましたか」という問いに「イエス」と答えたのは唯一トレドだけだったそうです。

「AAPの発表は、女性たちが自分自身と赤ちゃんの健康について、重要な決定をするための情報をより多く与えてくれるものです」
とトレドは語りました。
多くの女性に対するバリアに言及することで、トレドはビジネス界がこの小児科医の指摘を実行する助けをしてくれるように要請しています。

例えば、なぜ母乳育児をしている母親は職場で必要な設備や場所を提供されることがないのでしょうか?
「母乳をあげたり搾乳したりするために、女性がトイレや廊下の影に隠れる必要がなくなってやっと、私たち女性は母親という仕事に対しての心からの尊敬の念を得ることができるでしょう」
とトレドは語っています。

トレドはまた、母乳で育てるという選択は個人個人の選択であって、要因はひとりひとりの母親によって違っているとして医学的な発見を的確な文脈において考えることを世間に対して期待しています。

「母乳育児が難しいと思うのには、経済的な理由、物理的な理由、健康上の理由などがあり、人によって様々です。
これらの障害を乗り越えられる人もいれば乗り越えられない人もいるでしょう。
赤ちゃんの健康のケアのうちのこの一点のみについてどのような選択をしたかによって、今回発表された内容を、ある母親は『良い母親』」で他の母親は『悪い母親』だと判定するための道具にするべできありません」

NOWの副会長、キム・ガンディも同様の考えを示しています。
「私は娘たちを母乳で育てました。
それは母乳で育てることを可能にしてくれるような会社に勤めていたからです。
しかし、多くの会社はあのような配慮はしてくれませんし、中には母乳育児が絶対できないような手段をあえてとるような会社もあります」

ガンディは、世間一般がもっと母乳育児を認めて、搾乳やプライベートなスペースや母乳育児をするお母さんのために適切な育児時間を用意するように圧力をかけることで、今、母乳育児を難しくしているような障害のいくらかは解消されるだろうと述べています。

 

NOWのサイトで紹介されている原文はこちら

サポーターチェックリスト解説

「この人は私が母乳をあげるための応援団になってくれるかしら??」
医療・保健関係者が、あなたの母乳育児を支援してくれるかのチェック・ポイント

チェック表はこちら

「私は母乳育児を支持しています」と言わない医療・保健関係者はいません。
しかし、そういう人たちの多くは、母乳育児がうまくいっているときは応援してくれますが、中にはうまくいっているときでさえ応援してくれない人もいます。
以下は、医師・看護師・助産師・保健師があなたの母乳育児を応援してくれるかどうかをチェックするためのリストです。

 

1.その人は、妊娠中や出産後に人工乳のサンプルや乳業会社が作ったパンフレットをくれましたか?

これらのサンプルはや文書は、そこの製品を使ってもらおうとして作られたものです。
サンプルや文書で製品を使ってもらおうとすることを販売促進といいます。
どこの会社の製品が、どこの会社の製品よりもいいとか悪いとかいう明白な根拠はありません。
サンプルについてくる文書やビデオは、静かに、そして暗に、母乳育児をおとしめ、人工乳を賛美しようとするものです。
もしこのことが信じられないのだったら,自分自身にこう尋ねてみてください。
なぜ粉ミルク会社は、他の会社ではなく、その会社のパンフレットやサンプルを医師や病院が配ってくれるように、そんなに苦心しているのか?
粉ミルク会社の自社製品の販売促進に対抗して、保健・医療関係者が母乳育児を販売促進しないのはなぜなのか?

2.その人は「母乳と人工乳は基本的には同じです」とあなたに言いましたか?

粉ミルクで育てられた赤ちゃんのほとんどは、健康に育っていますし、母乳で育てられた赤ちゃんの中にも病気になってしまう赤ちゃんもいます。
しかし、だからといって、母乳と粉ミルクは基本的には同じであるとはいえません。
粉ミルクというのは、ここ数年の間に私たちが母乳について知ったことを、大雑把に真似したものにすぎません。
そして私たちは母乳について、そのすべてを知ったとはまだいえず、常に、その成り立ちについての新しい発見に驚かされている段階です。
この違いは健康に重要な違いをもたらします。
母乳の中のある種の要素は、人工乳には含まれませんし、その中には、ここ数年になってはじめてその重要性を私たちが認識したようなものも含まれています。
例えば、抗生物質や感染から赤ちゃんを守る免疫物資、赤ちゃんの視覚や脳の発達を促す長鎖多価不飽和脂肪酸(long chain polyunsaturated fatty acid)などです。
そして、母乳育児は粉ミルクを与えることと同じではありません。
全く違う赤ちゃんとお母さんの関係なのです。
母乳を与えられなかったとしたら、(ほとんどの場合、母乳を与えられないという事態は避けられたはずなのですが)それは不幸なことですが、それは子どもを育てることに影響があるとか、悪いことだとかいうことではないのです。
子どもが幸せに育っていくために母乳育児が絶対必要ということではありませんが、母乳育児は有利なのです。

3.その人は、ある特定の会社の名前だけをあげて「○○会社の人工乳が一番です」とあなたに言いましたか?

こういう人はどんな人でしょうか?
ある特定の会社の営業の話だけを聞きすぎている人ではないでしょうか?
または、その人の子どもがその会社の粉ミルクを他の会社のものよりは好んだということかもしれません。
その人が、自分が持つある会社に偏った見方を克服していないのかもしれません。

4.その人は「赤ちゃんには出産直後に母乳をあげる必要はない」とあなたに言いましたか?

もしかして、出産で疲れていて、赤ちゃんが母乳にあまり関心を持っていないこともあるかもしれません。
絶対に必要ではないかもしれませんが、母乳育児を続けていくための助けになります。
赤ちゃんはお母さんが横になったり、寝ている間でも、母乳を吸うことができます。
ただし、ほとんどのお母さんは、このような瞬間に寝ていられないと思うものですが。
赤ちゃんは必ずしもすぐにおっぱいに関心を示さないものです。
しかし、だからといって赤ちゃんとお母さんの最初の授乳という貴重な機会を無駄にする理由にはなりません。
多くの赤ちゃんは、出産から1時間から2時間のうちに吸いつこうとし、これがうまくスタートするのに最適な機会です。
しかし、お母さんから離されていたとしたら、このタイミングを逃してしまいます。

5.その人は「人工乳首を使うと赤ちゃんが混乱して母乳育児が難しくなるなんてことはない」とあなたに言いましたか?

「人工乳首を使っても母乳育児が難しくなるなんてことはないし、むしろ赤ちゃんが人工乳首に慣れるように早く哺乳瓶も使った方がいいよ」と言われたことがある人も多いでしょう。
もし、人工乳首による混乱という問題がないとしたら、なぜそんなに早く哺乳瓶を使わなければならないのでしょうか?
乳首の混乱なんて問題はないという議論は本末転倒です。
人工乳首による混乱が問題なのではなく、問題にされるべきなのは人工的に作られた乳首そのものなのです。
人間が作るまではどんな哺乳類も用いたことがなく、その人間でさえ、19世紀末までは使うことがなかった、人工乳首の問題なのです。

しかし、人工乳首が母乳育児にとって害がないとは証明されてはいません。
人工乳首が害がないと考えている保健・医療関係者は、乳児栄養の正常な手段は母乳育児ではなく、粉ミルクで育てることが正常だと世界を捉えているようです。
もし、人工乳首を使った赤ちゃんの多くが母乳育児に問題があるとしても、人工乳首だけが理由だとも考えられません。
問題には複雑にいくつかの要因がからんでおり、人工乳首の使用は、問題であるとはいえその一つにすぎないのです。

人工乳首を使うことによる乳首の混乱* 人工乳首を赤ちゃんが吸うことで、お母さんの乳首を嫌がったり、人工乳首での違う吸い方が影響して母乳をうまく吸えなくなってしまう問題を指します

6.その人はあなたや赤ちゃんが病気のときに「病気だから母乳はやめなければいけません」とあなたに指導しましたか?

「病気だから母乳はやめなければいけません」とか、「お母さんが薬を飲む間は赤ちゃんに母乳をあげてはいけません」とか「医療的な検査を受ける必要があるから、赤ちゃんに母乳をあげてはいけません」ということもよく聞かれます。
母乳を与えてはいけない場合は、非常にまれなケースなのですが、医療・保健関係者は、何がなんでもだめ、あげたいなんていう母親がまちがっている、と考えがちです。
母乳育児を支援している保健・医療関係者は、いかにして母乳育児に影響がでないようにするかを考えてくれるものです。
(薬物ガイドをみるというのはあまりよい考えではありません。ほとんどの薬品会社はお母さんと赤ちゃんの健康を守るよりも、責任の追求から自分たちを守ることの方に関心があるからです。)
お母さんが薬物治療をしなければならないとき、保健・医療関係者は授乳をやめないでいいような薬を使おうとします。
(事実、授乳をやめなければならない薬の方が圧倒的に少ないのです)
ひとつの病気のために、一種類の薬しかないということはめったにありません。
保健・医療関係者の最初の選択が、授乳中止をあなたに迫るような選択であれば、その人は母乳育児の重要性について考えも及ばない人だと考えるの十分な理由があるといえるでしょう。

7.その人は生後6ヵ月以上の子どもにあなたが母乳をあげているのを知って驚きましたか?

多くの医療・保健関係者は、粉ミルクで育てられている赤ちゃんの場合には、少なくとも9ヵ月、長い場合は12ヵ月は与えるべきだと信じています。
しかし、なぜか母乳については、6ヵ月以上与える必要はないとか、かえって害になると信じているようです。
模造品がオリジナルより優れているということがありえるでしょうか?
このことの意味をよく吟味してみてください。
世界中のほとんどの国で、2歳から3歳まで母乳を与え続けることは、一般的で普通のことです。

8.その人は生後6ヵ月以降は母乳には何の栄養もないとあなたに言いましたか?

もしそれが正しいとしても、それでも母乳で育てるということの価値が減ってしまうことはないでしょう。
母乳育児は、「母乳」がないとしても、二人の人と人の間の愛を通した相互作用のプロセスだからです。
しかし、母乳には何の栄養もないというのはまちがいです。
母乳は、6ヵ月たとうが母乳ですし、脂肪、たんぱく質、カロリー、ビタミン、免疫物質や他の赤ちゃんを感染から守る物質を含んでいます。
中には、大きくなってからの方がより多く含まれる物質もあります。

9.その人は添い寝しながら授乳するなんてとんでもないとあなたに言いましたか?

なぜだめなのでしょうか?
母乳をあげなくても赤ちゃんが眠りに落ちるようならそれはそれで結構なことですが、母乳育児の利点のひとつは、赤ちゃんが眠るために便利な道具になるということです。
世界中のお母さんは、人類の歴史始まって以来、添い寝しながらおっぱいをあげてきたのです。
子育ての大きな喜びのひとつは、赤ちゃんを胸に抱いてその暖かさを感じながら、赤ちゃんが眠ってしまうのを感じていることです。
赤ちゃんにとっての、母乳育児の楽しさのひとつは、おっぱいを飲みながら胸で眠ることでしょう。

10.その人は、赤ちゃんが病気で入院しているときに「あなたが休むことが大事だから授乳のために病院に泊まったりしないでください」とあなたに言いましたか?

あなたが十分休むことはもちろん大事なことですが、母乳育児を支援している病院は、母乳育児を続けながら、病院であなたが十分に休養がとれるような配慮をしてくれるものです。
病気や障害を持っている赤ちゃんは、母乳を健康な赤ちゃんより必要としていないということはありません。
健康な赤ちゃんよりももっと必要としているのです。

How to Know a Health Professional is not Supportive of Breastfeeding

Written by Jack Newman, MD, FRCPC(翻訳 高橋万由美)
(母乳育児支援ネットワーク http://www.bonyuikuji.net/)

配布の許可は要りませんが、必ず上記のクレジットとともに配布してください。
配布の折には、配布する人・団体名・場所・対象・枚数・その他ご意見や感想を母乳育児支援ネットワークまでお知らせ頂ければ幸いです。

母乳育児サポーターチェックリスト

「私は母乳育児を支援しています」と言わない医療・保健従事者はいません。
しかし、そういった人の中には正確な知識や情報を持っていなかったり、自分のやり方を押し付けてしまったりする人もいますし、支援のための具体的な方法がわからない人もいます。
以下は、医師・看護師・助産師・保健師など医療・保健従事者が、あなたの母乳育児を応援してくれるサポーターかどうかをチェックするためのリストです。
あなたが今までに出会った人をチェックしてみませんか?

各項目の 番号をクリックすると、それぞれの解説へジャンプします

サポーターチェックリストを配布する場合は、解説と共にご利用ください

1.その人は、妊娠中や出産後に人工乳のサンプルや乳業会社が作ったパンフレットをくれましたか?
2.その人は「母乳と人工乳は基本的には同じです」とあなたに言いましたか?
3.その人は、ある特定の会社の名前だけをあげて「○○会社の人工乳が一番です」とあなたに言いましたか?
4.その人は「赤ちゃんには出産直後に母乳をあげる必要はない」とあなたに言いましたか?
5.その人は「人工乳首を使うと赤ちゃんが混乱して母乳育児が難しくなるなんてことはない」とあなたに言いましたか?
6.その人はあなたや赤ちゃんが病気のときに「病気だから母乳はやめなければいけません」とあなたに指導しましたか?
7.その人は生後6ヵ月以上の子どもにあなたが母乳をあげているのを知って驚きましたか?
8.その人は生後6ヵ月以降は母乳には何の栄養もないとあなたに言いましたか?
9.その人は添い寝しながら授乳するなんてとんでもないとあなたに言いましたか?
10.その人は、赤ちゃんが病気で入院しているときに「あなたが休むことが大事だから授乳のために病院に泊まったりしないでください」とあなたに言いましたか?

世界規模の母親支援運動(GIMS)

母乳育児における世界規模の母親支援運動(GIMS)とは、世界母乳育児行動連盟(WABA)の母親支援部会によって取りまとめられた世界規模の運動です。
これは、子どもを母乳で育て始めたお母さんが母乳育児を続けるために、理解と支援が得られるような適切な環境を作りだすことを目的としています。
GIMSの定義によれば、母親支援とは、お母さんと赤ちゃん双方のために母乳育児が実際にやりやすくなるように、お母さんに差し伸べられる支援のすべてを含みます。
必要な支援は女性によってさまざまですが、一般的には励まし、正確で時宜にかなった情報、出産時の人間らしく思いやりのあるケア、アドバイス、安心させてあげること、ありのままを受け入れて認めてあげること、具体的な援助、実際的なコツの伝授などが含まれます。

多くの人がさまざまなところで、精神的な社会支援を必要としています。
女性は保健医療専門家、雇用主、友人、家族、地域からの支援が必要です。
妊娠、出産、授乳期間を通して条件が整えられてはじめて、安全に赤ちゃんを月満ちるまで胎内で育て、お産の経験を一緒に分かち合いたいと思って選んだ人に付き添われて出産することができます。
職場で働く女性は、産後の6ヵ月は完全に母乳だけで赤ちゃんを育て、離乳食を始めた後も母乳育児を続けることができるような支援を受けるべきです。

GIMSは、人権と女性の生殖に関する権利を尊重する取り組みを基盤としています。
この取り組みは男性の参加と地域社会の協力を求めています。
GIMSは、性別(ジェンダー)に配慮した支援の提供、良質の産前教育とケアを受ける女性の権利、女性が中心で尊重される分娩介助、適切で十分な産科処置を重視します。
また地域に住み、健康、食、医療についての知恵を伝える経験豊かな女性の役割もよく理解しています。

さらに広い視野を保ちつつ、さらに、GIMSの母親支援運動は、母乳育児支援に関心のある個人や団体のネットワークによって個々に定義されます。
地域における支援組織を強化することに重点を置くグループもあれば、母親が母親を支援する形のサポートやサポートグループ、あるいは保健医療サービスに力を注ぐグループもあるでしょう。

母乳育児における世界規模の母親支援運動の背景となる情報
1990年、31の政府から集まった政策作成者、10の国連機関、その他のWHO・ユニセフの会議に集まった参加者が、母乳育児の保護、推進、支援に関するイノチェンティ宣言を承認しました。
90年代において、イノチェンティ宣言は世界規模の母乳育児運動の推進力となり、特に「赤ちゃんにやさしい病院運動」の始まりと「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」の執行の強化は、大きな運動の成果です。
またイノチェンティ宣言は、(特に政策問題と保健医療サービスにおける)国際的な到達目標を設定し、働く女性の支援を増大させ、国レベルの母乳育児委員会を設立させる原動力にもなりました。

現在における母乳育児の状況を振り返って、WABAは強化が必要な分野を見極めました。
「赤ちゃんにやさしい病院運動」(BFHI)は、赤ちゃんに焦点を当てていますが、女性のニーズに関しては十分強調されているとはいえません。
母親への産前、陣痛時、分娩時、そして産後のケアが、女性の健康と福祉を支援するような方向に、BFHIをもっと「お母さんにやさしく」する時機が来ています。
そうしたケアが望ましい母乳育児支援ともなることがわかっているからです。
妊婦や赤ちゃんを産んだばかりの女性は、一貫しないサービスや、温かい支援に満ちているとはいえない保健医療施設の方針や手順や処置が原因で、不安定な状態に置かれることがよくあります。

(女性のニーズの需要と供給の)隔たりは、保健医療施設だけではなく地域にも起きています。
伝統的な社会では、女性がスムーズに母乳育児を始め、継続させるために必要な支援や実際的なアドバイスは、親戚や親しい友人の手にゆだねられていました。
地域によってはそのような伝統的な支援体制がまだ存在していますが、伝統が失われてしまった地域もあります。

保健医療施設と地域の両方のレベルでこうしたニーズがあることに気づいたWABAは、イノチェンティ宣言のなかの「支援」の部分に特に注目をした運動を発展させたのです。
そして、あらゆるレベルで母親への支援がなされるための戦略的思考を提唱しています。

世界規模の母親支援運動(GIMS)とは?
GIMSは、女性が出産前、分娩時、出産後を通じて適切で正確な情報、支援、保健医療ケアサービスを受けるニーズがあること、そして受ける権利があることに焦点を当てた世界規模の運動です。GIMSは、女性の生殖サイクルを全体的に見て、お母さんと赤ちゃんが望ましい母乳育児を経験できるように援助するさまざまな支援策を推進します。

母乳育児における世界規模の母親支援運動(GIMS)の未来像
どこに住んでいようともすべての女性が母乳育児において、専門家やレイ・プロフェッショナル(専門家の資格はないが、一定のトレーニングを受けた民間の援助者)の支援、社会的支援を受けられるようになること。お母さんと子どもが望む母乳育児経験ができるように必要な情報、教育、励ましを得られるようになること。それがGIMSの未来像です。

目的
母乳育児の情報、教育、支援、ケアの提供において、必要な手段が講じられ、お母さんと赤ちゃんが望ましい結果を得ること。

焦点
焦点は、母乳育児がうまくいくかどうかに影響を与える、女性の生殖サイクル(妊娠、出産、産後、母乳育児)における支援にあります。とはいっても、この時期以前、もしくは以後の教育や支援に手を伸ばすことも含まれますし、女性どうしの支援ネットワーク(パートナー、親戚、友人など)を妨げるものでもありません。

目標
* 母親への支援は広義にとらえ、母乳育児期間には妊娠中、出産時、産後も含む。
* 特に母乳育児にも影響を与えるお産の状況が、より人間らしく性別(ジェンダー)に心配りをした保健医療ケアになるようなガイドラインや手段を構築する。
* 世界規模で母親支援の理解を深め、地域に密着した母親支援の企画やネットワークを強化する。
* BFHIの第10ヵ条の項目を推進し、母乳育児支援グループへの理解を広げることによっ
て第10ヵ条の項目が実施されるようなガイドラインを発展させる。
* 母親支援を全体的にとらえることができるように、他の運動と連携、連帯する。これには、自然で人間的なお産、家族のサポート、助産術、女性の健康と権利にかかわる運動などが含まれる。
* 望ましい妊娠、出産、母乳育児を実現できるように雇用、保健医療施設、経済界の方針においての変革に弾みをつける。

母乳育児における世界規模の母親支援運動(GIMS)宣言
以下のことが前提にあります。
* お母さんは命を与え、命を生み出すもの、ヒューマニティ(人間性)を豊かにするものです。
* お母さんは赤ちゃんの子育ての主な担い手です。
* お母さんは赤ちゃんに最適な栄養を与えるために、支援を必要としています。
* 母乳育児はお母さん、子ども、家族、地域社会の健康と福祉に寄与します。
* 多くの伝統的な母親支援は、企業の世界的規模化(グローバリゼーション)、近代化、産業社会化の力によって弱められ、危機にあります。
* 同じ仲間どうしの支援グループの方法は、薬物乱用、ガン治療などのさまざまな分野において行動を変え、望ましい行動を維持するのに効果的であることがわかっています。
* 母乳育児における母親支援の概念は、あまり理解されているとはいえず、価値があるとも思われていません。
したがって、私たちは以下のことを宣言します。
* 支援活動の中ではお母さんが中心的な担い手となり、情報やサポートの受け手であるとともに与え手でもあるべきです。
* 生殖サイクルを通じて、赤ちゃんが望ましい栄養を得るのに大きな役割を果たす母親支援の重要な役割を認め、大切にしましょう。
* 妊娠と出産の人間らしく思いやりのあるケアに特に注目すべきでしょう。
* 母親支援とは、お母さんと赤ちゃん双方にとって望ましい母乳育児ができるよう、お母さんに差し伸べられるすべての支援が含まれますから、広く定義するべきです。
* お母さんは、生殖のサイクル(妊娠、出産、産後)を通じての支援を受けるべきです。
* 母親が母親を支援するサポートグループは、母親支援の多くの方法の中のひとつです。
* 母親支援は特に最適な母乳育児が困難な母親たち――働く女性、災害時や戦争化の女性、HIV/AIDSにかかった女性には、特に重要です。

それゆえ私たちは提案します
* 母親支援は国際的、また国や地域のレベルで配慮され、最優先で助成されるべきものです。
* 情報と実際的な援助は、子どもを産む時期の女性と母乳育児をしている女性に差し伸べられるべきです。
* 母親支援を続けるための策を練り、実施するべきです。それにはネットワーキング、また経験やモデル、手段を共有する機会を与えるこが含まれます。

さらに情報が欲しい方は以下にご連絡ください。
World Alliance for Breastfeeding Action PO Box 1200, 10850 Penang, Malaysia
Tel:60-4-6584816 Fax: 60-4-6572655 E-mail: secr@waba.po.my
Website: www.waba.org.br/   www.waba.org.my/
もしくは、
the WABA Mother Support Task Force(母親支援部会):
Paulina Smith, Coordinator <smithpc@att.net.mx> ・ Norjinah Moin, Co-coordinator
<norjinah@hotmail.com> ・ Rebecca Magalhaes, Co-coordinator <Rmagalhaes@llli.org>.

世界母乳育児行動連盟(WABA)は、母乳育児を保護し、推進し、支援するための世界規模の運動です。WABAはイノチェンティ宣言を基盤とし、ユニセフと緊密な連絡を取りながら活動しています。

GIMS for Breastfeeding, Mother Support Task Force ・ Jan 2002
母乳育児における世界規模の母親支援運動部会 2002年1月
World Alliance for Breastfeeding Action (WABA), www.waba.org.br
翻訳:母乳育児支援ネットワーク
2003年1月

国際規準違反報告フォーム

母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」の違反を日本語で報告できます。乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)のメンバーグループである母乳育児支援ネットワークの有志が英語に訳してIBFANに届けます。

アイコンまたはこちらをクリックすると「国際規準」違反を報告できるフォームが開きます。ご協力をお願いいたします。

 

最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

Facebook 母と子の育児支援ネットワーク(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会)

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