Day2 WHO国際規準:オーストラリアの経験より/The WHO International Code: Australian Experience

-Ros Escott BAppSc IBCLC

o Approximately 87% of Australian mothers initiate breastfeeding.
オーストラリアの母親の約87%が母乳育児を始めます。

o But the majority of Australian babies are bottle-fed with infant formula for at least some
of the first 12 months of life.
しかし、オーストラリアの赤ちゃんの大半は、生後数ヵ月もたたないうちに哺乳びんで人工乳を与えられてしまいます。

o 12.4% of babies are artificially fed from birth, and a further 2% receive breastmilk for
less than one week.
o 12.4%の赤ちゃんは生後すぐから人工乳や哺乳びんで育てられ、しかも2%を越える赤ちゃんは母乳を1週間ももらえません。

o At 6 months, only 47% of babies are receiving any breastmilk; more than half of Australia’s babies are artificially fed for at least half of their first year.
生後6カ月の時点で、少しでも母乳を飲んでいる赤ちゃんは47%だけです。オーストラリアの赤ちゃんの半分以上は、生後6ヵ月もたたないうちに人工栄養になっているのです。

o In 2001, there were 250,000 babies born in Australia.
o 2001年に、オーストラリアでは25万人の赤ちゃんが生まれました。

o In 2001, 6.9 million kilograms of powdered infant formula was sold in Australia.
o 2001年に690万キログラムの粉ミルクがオーストラリアで販売されました。

o That is an average of 27.6 kg of infant formula for each baby (about 6 months’ supply).
o これはひとりの赤ちゃんにつき27.6キログラムの粉ミルク(6ヵ月分として)となります。

o Each country is expected to implement the Code in a way that is appropriate to that country’s social, legal and development situation.
o 各国は、その国の社会的、法的、そして発展の状況に応じて適切に「規準」を実践することが期待されます。

o The Australian Government has chosen to implement the Code through a series of guidelines
and authorised agreements within the context of existing laws, particularly the Trade Practices Act.
o オーストラリア政府は、既存の法律(とりわけ「商取引の慣行に関する法」)の範囲内で公に合意し、一連のガイドラインを作成するという方法で、「規準」を実践するという選択をしました。

o In May 1983, two years after the Code was adopted by the World Health Assembly, an Industry Code of Practice was accepted by the Australian government.
o 世界保健総会で「規準」が採択されてから2年後の1983年の5月に、オーストラリア政府によって、Industry Code of Practiceが認可されました。

o This was an agreement that the infant formula industry would voluntarily control its marketing practices by self-regulation.
o これは、人工乳の製造会社が自社の内規で、販売業務を自主的に制御するという合意でした。

o However, there were no provisions for monitoring.
o しかし、監視体制は用意されていませんでした。

o The companiesユ marketing practices in Australia did not reflect the full provisions of theInternational Code.
o オーストラリアにおける企業の販売業務は国際規準の条項を完全には反映していませんでした。

o In 1992, a new agreement was signed between the Australian Government and the manufacturers and importers of infant formula.
o 1992年に、オーストラリア政府と人工乳の製造および輸入企業との間で新しい合意が正式になされました。

o This is called the Marketing in Australia of Infant Formula (MAIF) Agreement
o これは、「オーストラリアにおける人工乳販売に関する合意」(MAIF)と呼ばれています。

o This agreement is almost the same as the International Code, but it only covers infant formula.
o この合意は、ほぼ国際規準と同じですが、ただ人工乳のみに適用されます。

o There is no agreement on the marketing of bottles and teats, etc.
o 哺乳びんや人工乳首などには適用されないのです。

Other Australian laws address other aspects of the Code:
オーストラリアの法律には、「規準」の他の部分を表記しているものがあります。

o Quality and labelling are covered by law under the Australia New Zealand Food Standards Code and the Export Control Act.
o 品質とラベルは、「オーストラリアとニュージーランドにおける食品規準コードおよび輸出制御法」という法律が適用されます。

o Consumer law covers misleading and deceptive conduct.
o 誤解をまねいたり、だましたりするような販売方法には、消費者保護法が適用されます。

o The Therapeutic Goods Act addresses misleading therapeutic claims
o 「治療用の物品に関する法」には誤解を招くような情報に対しての見解が書かれています。

o Unlike the first agreement, the MAIF Agreement provides for monitoring through the Advisory Panel on the Marketing in Australia of Infant Formula (APMAIF).
o 最初の合意とちがって、MAIF合意にはAPMAIF(乳児用人工乳のオーストラリアにおける販売助言委員会)による監視体制が備えられています。

o APMAIF is a five-person panel set up by the government to monitor the MAIF Agreement and
advise the Australian government on implementation of the International Code.
o APMAIFは政府から委託された5人の委員で構成され、MAIF合意を監視し、国際規準の実施に関してオーストラリア政府に助言する仕事をしています。

o I was the first community representative on the Panel, from 1992 to 1997
o わたしは1992年から1997年まで、委員会の初代の地域代表を勤めました。

o APMAIF publishes an annual report which discusses what the Panel has done during the year.
o APMAIFは、1年間の委員会活動を検討し、年次報告を出版します。

o The Report names the companies that have breached the Code in Australia, and describes each of the breaches.
o 報告書にはオーストラリアの「規準」に違反した企業の名前を公表し、その違反の内容も記載されます。

o How well has the Code been implemented in Australia?
o オーストラリアでは、どのくらい「規準」が守られているでしょうか?

o Does infant formula compete with breastfeeding?
o 人工乳は母乳育児と「競争」しているでしょうか?

o Compared to countries like the USA, where the Code has not been implemented, the
companies’s marketing practices in Australia are definitely restrained.
o 「規準」が守られていないアメリカ合衆国のような国と比較すると、オーストラリアでは企業の販売行為は明確に規制されています。

o Most companies try to comply with the words of the MAIF Agreement, but their primary goal
is to find ways to sell more infant formula.
o 大半の企業はMAIF合意に書いてある言葉には従おうとしていますが、最優先の目的はなんとか少しでも多くの人工乳を販売する方法を見つけることです。

o Activities of retailers are not covered by the Code in Australia.
o 販売員の行動は、オーストラリアの「規準」の適用は受けません。
o Infant formula continues to appear in pharmacy and grocery store catalogues.
o 薬局や食料品店のカタログには、人工乳がまだ載っています。

o Bottles and teats are still widely advertised to parents.
o 哺乳びんや人工乳首はいまだに一般の親向けに広告されています。

o Bottle and teat labels and advertisements make misleading claims
o 哺乳びんや人工乳首のラベルや広告には誤解させるような情報が書いてあります。

o Although it has mostly stopped, sometimes samples of infant formula are given to health
professionals to pass on to parents.
o ほとんどなくなったとはいえ、人工乳の試供品が保健医療従事者に手渡されて、それが親の手に渡ることもあります。

o Follow-on formula (for babies aged 6-12 months) is covered under the MAIF Agreement in
Australia.
o フォローアップ・ミルク(生後6~12ヵ月の赤ちゃん用)は、オーストラリアではMAIF合意が適用されます。

o The companies canユt advertise infant formula and follow-on formula, so they invented toddlerformula (for young children over 12 months of age).
o 企業は人工乳もフォローアップ・ミルクも広告できません。そこで、「幼児用ミルク」(12ヵ月以上の幼児用)というものに方向転換しました。

o Toddler formula is just another way of marketing the same infant formula brand names to mothers
o 「幼児用ミルク」は母親向けに、同じ人工乳のブランド名を変えただけのものです。

o The materials produced by companies for health professionals are not always restricted to
scientific and factual informations.
o 保健医療専門家向けに企業が作った資料は、「科学的で事実に基づく情報」だけとは限りません。

o Health professionals know that breast is best, but the companies have convinced them that
modern infant formula is very close to breastmilk.
o 保健医療専門家は母乳育児がいちばん良い、ということを知ってはいるのですが、企業は、最近の人工乳は母乳に非常に近い、と信じこませています。

o Health professionals advise mothers about infant feeding, and mothers respect their advice.
o 保健医療専門家は母親に赤ちゃんの栄養法についてアドバイスし、母親もそのアドバイスを尊重します。

o The companies produce diaries, which they give to health professionals.
o 企業は手帳を作って、保健医療専門家に配ります。

o The child health nurse might consult the Immunisation Schedule in her diary, in front of
a mother, and the mother will see the opposite page of advertising.
o 保健師は、自分の手帳をめくりながら、予防接種の予定について母親に話をすることがあるかもしれません。その母親は手帳の裏表紙に広告が載っているのを見ることでしょう。

o The companies are not permitted to advertise directly to mothers…
o 企業は直接母親対象に広告をすることは許されていませんが…

o So they cheated and made the labels on the cans more attractive.
o 缶のラベルをごまかして母親の注意を引くようなものにしています。

o Company produced infant feeding information is always biased
o 企業が提供する乳児の栄養に関する情報は「常に」偏っています。

o They may pretend to support breastfeeding, but the primary goal of the company is to sell
more formula.
o 母乳育児を支援しているかのように見せかけていますが、最優先の目的は、もっと たくさんの人工乳を売ることです。

o These two pictures are from a company’s infant feeding booklet.
o この2枚の写真はある企業のパンフレットです。

o Which mother and baby are looking into each other’s eyes?
o お互いの目を見つめ合っている母と子はどちらでしょうか?

o One mother is exposing a lot of breast and is probably at home in the nursery, and the othermother is dressed to go out. Which mother looks like she has a more interesting life?
o ひとりの母親は胸をはだけておそらく自宅の子ども部屋にいます。もうひとりの母親はおしゃれしてでかけるところです。どちらの母親がすてきに見えますか?

o Mothers make decisions about infant feeding against a background of messages that artificialfeeding is a readily available, safe, and an acceptable way to feed a baby.
o 人工栄養はいつでも簡単にできて、安全で、そして十分満足できる方法であるというメッセージが背景にあるのにもかかわらず、母親は、自分の子どもをどんな栄養法で育てるかということを決める決定権があります。

o Well you think formula must be just as good, otherwise they wouldn’t put it on the shelf.
Comment by young mother

○「人工乳だって、同じくらいいいに決まってます。だってそうでないとお店で売ってないはずだもの。」(ある若い母親の言葉)

o Is infant formula really just made out of cow’s milk? I thought it was the same as breastmilk. Comment by young mother.
「人工乳って、ほんとうに牛乳からできているの?母乳と同じかと思ってたわ。」 (ある若い母親の言葉)

o Australia is a developed country with a safe water supply.
o オーストラリアは先進国で安全な水が得られます。

o Some people think that bottle feeding in Australia is therefore not a health problem.
o だからオーストラリアでは、哺乳びんで育てることは健康の問題ではない、と考える人もいます。

(翻訳 瀬尾智子Tomoko SEO, MD, IBCLC)

母乳育児支援ネットワーク(BSNJAPAN)について

母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)はWABA(母乳育児支援行動連盟)を日本で紹介し、日本での母乳育児を支援する活動を行うことを目的として2000年に設立された非営利団体です。 WABAの支援団体として登録されており、母乳育児支援に関心のある方の参加と協力をお待ちしております。

BSNの理事会は医師や助産師などの保健医療専門家のみならず、社会福祉やメディア社会学、法律の専門家、および母乳育児支援団体の母親リーダーなどを含むメンバーで構成されており、母乳育児がしやすい社会をめざして活動を続けています。

BSNJapanはWABA(世界母乳育児行動連盟)の承認団体であり、乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)のメンバーグループでもあります。


最初は母乳だけ、その後も他の食べ物を補いながら母乳を与え続ける。金色のリボンは、 その「ゴールド スタンダード」、つまり理想のありようの象徴です。

WABA(世界母乳育児行動連盟)とユニセフが共同で提唱している「金色のリボン運動」に参加しています。

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