WABA’99(人形写真:この出産と授乳人形はブラジルのRecife市にあるLactea and Origem社のデザインです)
世界中で、乳幼児期における子どもの発達と家族内でのふれあいの大切さについての知識が向上し、より関心が寄せられるようになってきています。保育の質を高めることや、子どもの発達上のニーズに関する知識を教育システムや教育課程の中で教えていくことに、社会の関心が高まっているのです。ところが、人間の発達や家族生活の質にとって、母乳育児がいかに大切であるかについて考察されることはほとんどありません。
最近の研究によると、母乳育児が赤ちゃんの健康や栄養のため、また赤ちゃんが信頼や安心感をはぐくむために大切なだけではなく、脳の発達や学習の基礎をつくるためにも重要であることがわかってきました。(p.3の図表とp.★の参考文献参照)例えば
●母乳中の特殊な脂肪酸は知能指数(IQ)を高め、よりよい視力の獲得に役立つ。 (Andraca I and Uaury R, 1995, p.★の参考文献参照)
●母乳で育てられた赤ちゃんは、これまで聴覚障害や学習の遅れを招くとされてきた耳の感染症にかかりにくい。
●母乳で育った子どものほうが、学業成績がよいという研究が複数ある。しかもこの結果は、子どもがかなり大きくなった中等教育が終わる時点で、社会階級や母親の教育程度や人種の違いといった影響を考慮に入れてもなお、変わらなかった。 そこで、今年の世界母乳育児週間は、母乳育児の大切さを教育システムに浸透させ、だれもが自然に学習できるようにする必要性をテーマにします。 強調すべきは、乳児は、生後6ヵ月間まで、母乳だけで育てられるべきだということです。そしてその後も、適切な補完食(離乳食)を食べつつ、2歳かそれ以上になるまで母乳を飲み続けるのが最適です。
INDEX
「母乳育児:いのちの教育」がテーマの1999年世界母乳育児週間は次のような目標を掲げます
なぜ、母乳育児教育がそれほど必要なのでしょうか
あなたは母乳育児に優しい文化の中で暮らしていますか
乳児栄養法別にみた知能指数(IQ)
母乳育児の何について教えたらいいのでしょうか
教育の中に母乳育児を組み入れるための活動
母乳育児を推進するためにどのようにメディアに働きかけたらいいでしょうか
母乳育児にやさしい保育園のための10ヶ条
行動のためのアイデア
「猫は猫の赤ちゃんを産む」
「母乳育児:いのちの教育」がテーマの1999年世界母乳育児週間は次のような目標を掲げます。
●乳児の発達と成長のためのスタンダード(標準)として、母乳育児を保護・推進・支援することの重要性を社会全体に広めること
●公教育・私教育・年齢・性別の別なく、すべての教育に、母乳育児や適切な乳児栄養法に関する学習が組み込まれるよう促すこと
●専門機関、医学部やそのほかの教育機関、保健医療の職能団体、公立学校、私立学校、病院、コミュニティーセンターなどの教員や講師と協力して、母乳育児に関するカリキュラムを改善すること
●1999年の世界母乳育児週間の活動に、未就学児からティーンエージャーまでをも巻き込み、さまざまな年齢にあった教材を提供すること
●母乳育児の経験と実践を、子どもの発達のための教材や玩具に反映させるよう促すこと。
母乳育児は教育の好スタートを約束します
母乳育児は、母乳中の栄養と母と子のふれあいによって、子どもに最適な脳の発達を促します。
母乳育児は、学習障害や視覚障害や発達不良を引き起こす可能性のある病気から赤ちゃんを守ります
母乳育児によって、母と子はひんぱんにふれあうことになります。そのため、赤ちゃんは自然と(母親の)言葉や、お手本となる社会的な行動や、(学習に)大切な刺激にさらされます。
母乳育児はより視力を発達させ、視覚を研ぎ澄まさせます。それによって、将来読んだり学んだりする下地ができます
「母乳育児:いのちの教育」がテーマの1999年世界母乳育児週間は次のような目標を掲げます。
● 乳児の発達と成長のためのスタンダード(標準)として、母乳育児を保護・推進・支援することの重要性を社会全体に広めること
● 公教育・私教育・年齢・性別の別なく、すべての教育に、母乳育児や適切な乳児栄養法に関する学習が組み込まれるよう促すこと。
● 専門機関、医学部やそのほかの教育機関、保健医療の職能団体、公立学校、私立学校、病院、コミュニティーセンターなどの教員や講師と協力して、母乳育児に関するカリキュラムを改善すること
● 1999年の世界母乳育児週間の活動に、未就学児からティーンエージャーまでをも巻き込み、さまざまな年齢にあった教材を提供すること
● 母乳育児の経験と実践を、子どもの発達のための教材や玩具に反映させるよう促すこと。
何をどう思い、どう感じるかということは、幼少期に、文化的・状況的・社会的影響によって形成されます。家族や友人や教師によって、何が好ましく、何が好ましくないのかという信念は左右されるのです。母乳育児に対して肯定的な態度を子どもがとれるようになるためには、小さいときから、なぜ母乳育児が母と子にとってよい選択なのか、なぜ母乳育児を支援しなければならないのかということを学べるようにする必要があります。
公教育や非公式な教育を通して、子どもや若者や大人が母乳育児についての正確な情報を身につける機会はたくさんあります。母乳育児についての情報は、科学、生物、家族研究、栄養学や家政学などの科目に容易に入れることができます。教師の工夫しだいで、数学、芸術、社会科、歴史、マーケティング、ビジネス、環境学、あるいは工学の中でさえ母乳育児を教えることができるでしょう。男性と女性の両方の態度が社会規範に影響を与えることを考えると、男の子にも女の子にも母乳育児について教えることが必要です。
ものごとを吟味して考えるスキルや、そのスキルを母乳育児の課題に応用することで、子どもも若者も大人も、さまざまな栄養法のメリット・デメリットを吟味し、自分自身の意見を持ち、十分な情報を得たうえで選択ができるようになります。学んでいくうちに、いかに人工栄養法(哺乳びんで育てること)の販売促進をする広告主からの有形無形の圧力を受けているか、どうしたら職業を持つ女性が母乳育児を続けることができるのか、また、母乳育児中の母親が社会や会社からどのような支援を必要としているのか、といったことがわかってきます。そのようなことを通して、それぞれの人生の中で、十分な情報をもとに決定ができるようになることでしょう。
母乳を飲ませようが、哺乳びんで授乳しようが、変わりはない、とされてはいませんか? 母乳育児は「もっとよいもの」を買う余裕がない場合や「働いていない女性」がすることだという風潮はありませんか?
● 保健医療専門家は母乳と乳児用人工乳はほとんど違いがないと教えられていませんか?
● 教科書や子どもの本に、母親や父親、もしくは看護師が、あたかも赤ちゃんを育てる自然な方法のようにして哺乳びんで人工乳を与えている写真やイラストが載っていませんか?
● 哺乳びんやおしゃぶりが赤ちゃんのシンボルマークのように使われていませんか。例えば、赤ちゃんの誕生祝いのカードや公共施設の授乳室などのマークはどうでしょうか?
● 母親が、人前での授乳を慎むべきだと言われたりしませんか?
● 赤ちゃんは、小さなころからひとりで部屋に寝かせるのがいいと、両親が思わされてはいませんか?
● 赤ちゃん人形は哺乳びんつきではないですか。当たり前のこととして、哺乳びんをすすめるような玩具はありませんか?
● 赤ちゃんと早い時期から離れることや、赤ちゃんを「自立させること」がいいとされていませんか?
そして、赤ちゃんが母親と離れやすくする手段として、哺乳びんやおしゃぶりがすすめられてはいませんか?
以上の問いの答えがほとんど「はい」だったら、あなたは「母乳育児を軽んじる文化」の中で暮らしていると考えられます。
BF=母親の乳房から直接、母乳を飲んで育った子ども
BMF=(搾母乳を含む)母乳を飲んで育った子ども
FF=人工乳で育てられた子ども
(1)Morrow-Tlucak M, Haude RH, Ernhar CB, Breastfeeding and cognitive development in the first 2 years of life. SocSciMed 1988; 26:635-9
(2)Ferguson DM, Beautris AL, Silva PA, Breastfeeding and cognitive development in the first seven years of life, SocSciMed. 1982; 16:1705-08
(3)Lucas A, Morley R, Cole TJ, Lister G, Leeson-Payne C. Breastmilk and subsequent intelligence quotient in children born preterm, Lancet 1992;339:261-4
(4)Horwood LI, Fergusson DM, Breastfeeding and later cognitive and academic outcomes, Pediatrics 1998;101:p.e9
(5)Rive E, Agostoni C, Biasucci G, Trojan S, Luotti D, Fiori L, Giovannini M, Early breastfeeding is linked to higher intelligence quotient scores in dietary treated phenylketonuric children. Acta Paediatri 1996;85:56-8
(6)Rodgers B, Feeding in infancy and later ability and attainment: A longitudinal study. DevMedChild Neurolo. 1978;20:421-6
再び母乳育児を文化的に当たり前にするためには、教育システムの中に母乳育児についての基本的なメッセージを組み入れることが大切です。
例えば
●乳房から飲むというのは赤ちゃんにとってごく普通の食事方法で、母親と赤ちゃんは商業的な影響を受けずに母乳育児をする権利があります。
●母乳育児中の母親と赤ちゃんはどんなところでも歓迎されるべきです。母親と赤ちゃんは、学校、宗教施設、レストラン、公共交通機関、職場、友人宅でも、病院や買い物に行ったときでも、おっぱいを飲ませる/飲む権利があります。
●赤ちゃんを抱っこしてどこでも連れて行くことは、赤ちゃんに安心感とともに脳の発達を促す刺激を与えます。
●母親は働く必要があるかもしれませんが、特に生後1年間は、赤ちゃんには母親が必要です。
【訳注】このことで母親が働くことを否定するものではありません。母乳育児と働くことは両立できます。
●父親は直接おっぱいをあげることだけはできませんが、母親が赤ちゃんのためにするそのほかの世話のほとんどをすることができます。父親は赤ちゃんをゆらゆらあやしたり、話しかけたり、おむつをかえたり、お風呂に入れたり、遊んだり、寝かしつけたり、抱っこしたりできます。
●母乳育児は、赤ちゃんが大人の食事に慣れていく準備になります。母乳は成長していく子どものニーズに合うように変化していきます。
●赤ちゃんと一緒に寝るのは自然なことです。依存を助長する悪い習慣などではありません。
●人工乳やおしゃぶりのイメージは製品を売るために作りだされたイメージにすぎません。こうした製品は赤ちゃんにとって必需品ではありません
●チリでは、「赤ちゃんにやさしい保育園」の10ヵ条を全国保育連盟(JUNJI)が作りました(★ページ参照)
●ペルーでは、CEPRENとPROANDESという団体がUNICEFと、地方の教師のための、乳児栄養法についての研修プログラムを作りました。この研修の成果はすでに現れており、教師が生徒に働きかけた地域の母親の間では、初乳を捨てずに与えるように変わってきたという報告があります。
●カナダの先住民の共同体で、地域の教師とピアカウンセラーは母乳育児クラスを作りました。そこでは、母乳育児についての「物語を話し聞かせる」ことによって、若者の間で母乳育児を肯定的にとらえて実践する人が増えるという成果がありました。
●プエルトリコでは、保健医療専門家は資格の更新の際に3単位の母乳育児教育のコースを取ることが必要とされています。
●アメリカ小児科学会は、医師が母乳育児支援のスキルを身につけられるように「外来小児科における母乳育児プログラム」を始めました。
●ニューヨーク州保健局では、幼稚園児から高校の最終学年までを対象とする「母乳育児:健康への第一歩」というモデル・カリキュラムを作りました。詳細は保健局のウェブサイトで読むことができます。http://www.health.state.ny.us/nysdoh/consumer/child/child.htm
●ブラジルでは、地域とORIGEM, AMIGAS DO PEITOなどの母親支援グループがラジオや劇場を使ったり、母乳育児人形*を製作したりして地域教育プログラムを開発しています。
【訳注】表紙(p.1)の人形のこと。
●ニカラグアでは、母乳育児中の教職員・学生・大学関係者・地域住民を支援するために「女性と赤ちゃんにやさしい大学運動」を6つの大学で始めて、母乳育児とそのやりかたや援助法を教育課程に組み込んでいます。
●フィリピンでは、ARUGAAN*が職場内保育所で、乳幼児初期の赤ちゃんへの刺激、母乳、自然で伝統的なフィリピンの食事(補完食)を与えるシステムを開発しました。母親の母乳育児を支援し、その土地でとれる野菜を積極的に使った食事(補完食)を保育所でも家庭でも推進することで、ARUGAANは栄養不良の被虐待/育児放棄児を非常に短期間のうちに回復させることに成功しました。
【訳注】母乳育児と伝統的な食事を重視する保育施設を運営するNGO
●アメリカでは、大学の単位が取得できる母乳育児教育コースは、通学制・通信制ともに大幅な増加を見せています。
●アメリカでは、ソーシャル・マーケティング【訳注:マーケティングの諸概念や技法を社会的な目標達成に役立てること】運動もおこなわれています。母乳育児を推進するために、1997~98年のアメリカWIC【訳注:低所得の女性と乳幼児のための栄養プログラム】の「愛情ある支援」キャンペーンが10の州で
実施されました。また、カナダ政府の「いつでもどこでも母乳育児」キャンペーンでは、ポスターやシールが作成され、政府広報 や公共交通機関での広告やパンフレットが製作されました。
母乳育児を推進するためにどのようにメディアに働きかけたらいいでしょうか。
●メディア向けに母乳育児と母乳がいかに子どもの発達を促すかについてのファクトシート(科学的知見に基づく概要書)を作りましょう。
●母乳育児を好意的に描いている広告主や企業に対して、激励の手紙を送る運動を組織しましょう。
●母乳育児が否定的に描かれたり、哺乳びんが授乳方法の第一選択肢であるかのように描かれていたりしたら、新聞やテレビや映画に対して抗議の手紙を送る運動を組織しましょう。
●メディアに母乳育児を支援している会社とそうでない会社についての情報を知らせましょう。
●テレビのプロデューサーに、アニメの中で母乳を飲んでいる赤ちゃんを描くようにお願いしましょう。
●子ども向けの本の作者に、本やお話の中でで母乳育児についてふれてもらうようにお願いしましょう。
●報道機関やIBFAN(乳幼児食品国際行動ネットワーク)に「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」や国内法・条例違反の事例を報告しましょう。Baby Milk Action(http://www.babymilkaction.org/)やIBFAN(http://www.ibfan.org/)にメールを書きましょう。
母乳育児にやさしい保育園のための10ヵ条
チリの全国保育園連盟(JUNJI)が作った「母乳育児にやさしい保育園」のための10ヵ 条を守って「母乳育児にやさしい保育園運動」を盛り立てましょう。
1.託児所や保育園の年間計画に、例外なく、母乳育児についてのテーマを組み入れるようにしましょう。
2.すべての職員が研修を受け、母乳育児を推進し支援する活動の即戦力になれるようにしましょう。
3.入園・入所している子どもの家族すべてに、母乳育児の利点を知らせましょう。
4.妊娠中の女性、授乳中の母親、そして母乳育児に関心のありそうな家族との教育的活動を活発にしましょう。
5.母乳育児について、子どもが参加できるような学習体験を促しましょう。
6.保育園や託児所で母乳育児が続けられるように支援しましょう。
7.赤ちゃんが6ヵ月までは母乳だけで育てられるように推進しましょう。
8.おしゃぶりを使わないようにしましょう。
9.教育関係者(親、教職員、管理者、保育者など)が協働して母乳育児支援グループを作るように推進しましょう。
10.保健所や地域の活動団体と協力して、母乳育児や乳児栄養に関する合同イベントを進めましょう。
教師と親
●あなたの地域の教育委員会やカリキュラム開発にかかわっている担当者と連絡を取って、母乳育児が人間発達学、家庭生活学、社会学、心理学、歴史学、女性学、家政学、保健体育、科学、生物学などの科目に取り入れられるように提案してみましょう。
●上記の科目を教える教師の資格更新条件の中に、母乳育児についての学習を取り入れるように働きかけましょう。
●「母乳育児にやさしい保育園運動」を推進しましょう。(「母乳育児にやさしい保育園のための10ヵ条」を参照)
小学校(低学年)の教員
●図書館に母乳育児についての肯定的なイメージや実践を載せている本があるか確かめましょう。母乳育児について否定的な本を肯定的な良質の本と入れ替えましょう。
●子どもたちに母親や近所の人が母乳育児についてどんな体験をしたか聞いてくるように言いましょう。そして何を聞いてきたのかをクラスで話し合い、間違った情報については訂正しましょう。
●母乳の成分が何のためにあるのかが発見できるようなクイズを作ってみましょう。
●母乳育児についての子ども向けの塗り絵ノートを作成しましょう。母乳育児についての絵本や歌を作ってみましょう。WABAの「母乳育児:自然のとる道」(子ども用の絵本:未訳)を使ったり、母乳育児についての物語、歌、図画などのコンテストを開催したりしましょう。
●子どもたちに親や近所の人をインタビューするように言って、赤ちゃんが母乳以外の食べ物をいつ食べ始めたのかを聞いてきてもらいましょう。そして、クラスでその答えについて話し合い、母親が赤ちゃんにほかの食べ物をあげる時期やどんな食べ物をあげるのかが、人によって違っている理由を考えてみましょう。
●哺乳びんをすすめるような玩具、例えば哺乳びんやおしゃぶり付きの人形が教室にないか調べてみましょう。親や教師に、そのような玩具を母乳育児人形に替えたり、哺乳びんやおしゃぶりを子ども用のコップや皿、スプーンなどに替えたりするよう提案しましょう。
●保健室や家庭教育センターに、母乳育児についてのポスターやパンフレットなどの情報を置くようにしましょう。
小学校高学年や中学高校の教員や管理職
●カリキュラムを見直して適切な教科に母乳育児についての情報を組み入れる作業グループを作りましょう。例えば、母と子のイメージを考える授業、生殖についての理科の単元、乳児栄養についての家庭科の単元、母乳・人工乳論争や南北問題についての社会の授業、食の安全保障やエコロジーについての時事問題の授業、乳母という職業について歴史の単元など、さまざま考えられます。
●ニューヨーク州保健局が作成した、5歳(就学前)から18歳(高校卒業)までを通してのモデル・カリキュラムを採用したり、参考にしたりしましょう。
●10代で母親になった学生が、母乳で育てている赤ちゃんを学校に連れてきたり、学校で母乳をしぼったりできるような学校の方針を定めましょう。
●教職員が仕事を続けながら母乳育児もできるような学校の方針を定めましょう。
大学や専門教育に関わる教員
●乳児栄養法の実践について情報を得るための最新のアンケートや研究手法を紹介しましょう。
●人工乳の使用と母乳育児についてテレビでどのように表現されているかについて、学生に、モニタリングに挑戦してもらいましょう。その結果をマーケティングや英語、社会学、歴史学、法学などの講義で討論しましょう。
●学生にインターネットで母乳育児と人工栄養について調べさせて、その結果を話し合いましょう、
●母乳で赤ちゃんを育てている母親を赤ちゃん連れで教室に呼び、経験を語ってもらいましょう。
●構内に教職員や学生が使う託児所や搾乳室を設けましょう。
●学生に母乳育児に関連する課題でレポートや論文を書かせましょう。
*学生が実習先の地域の保健センターや教育実習先の学校で、母乳育児の重要性や適切な乳児栄養法について地域の人たちに啓発するように働きかけましょう。
●学生にそれぞれの母乳育児歴を発表してもらい、自分や自分の母親の母乳育児体験を分析させましょう。
●「女性と赤ちゃんにやさしい大学運動」を発展させましょう。(WABAのウェブサイト参照)
●すべての専門教育のカリキュラムに母乳育児を組み入れましょう。例えば、経済学、マーケティング、環境学、歴史学、経営学、社会学、文化人類学、女性学、心理学、ソーシャルワーク、微生物学、科学、教育学、法学、医学、芸術学など。
保健医療専門職
●医学部、看護学部、栄養学部などの保健医療専門家の教育機関で、母乳育児クリニックを作りましょう。
●同僚の教員、学部長や大学長などに、今のカリキュラムの教材の中で母乳育児について書かれた内容を見直したり、改善したりする必要があることに気がついてもらいましょう。
●厚生省や文部省の主要メンバーに、カリキュラムの変更の必要性に気づいてもらい、全国的な母乳育児プログラムと連動して、カリキュラム検討のための作業に早く取り組んでもらうように促しましょう。
●母乳育児についての良質な情報が載っている教科書を使いましょう。あるいは教科書を改訂して母乳育児の具体的なこつの情報や母乳育児援助法について載せるように要求しましょう。
●母乳育児推進や臨床的な母乳育児援助法に焦点をあてた集中的な実習の経験が持てるようなプログラムに参加したり、(そうしたプログラムがなければ)創設したりしましょう。
●保健医療に関する資格試験や業務基準に母乳育児支援法を取り入れましょう。
●自分の属している専門団体や、インターネット上の既存のネットワークを通して、自分たちの経験や教訓、模範になるような話や情報源が共有できるようにしましょう。
ニューヨーク州保健局によるすべての学年の子どもたちのために開発された活動の手引きからの抜粋
『母乳育児:健康への第一歩:すべての学年の子どもたちのための母乳育児教育の手引き』
ニューヨーク州保健局 1995年 http://www.health.state.ny.us/
生徒は他の分野の勉強をしながらも考えるスキルを養うことができます。5歳から18歳までの子どもの教育カリキュラムの一例です。
幼稚園児童(未就学児)
「猫は猫の赤ちゃんを産む」
この単元では子どもに、大人になった動物は同じ種類の動物の赤ちゃんを産むという考えを教えます。
また、動物のお母さんは、生まれてくる赤ちゃんの世話をするということがわかるようになっていきます。
第1課 生徒はお母さん鳥を探そうとしているひな鳥の話を聞きます。(関連科目:言葉、理科、家庭生活)
第2課 動物の親子合わせ遊びをしてもらいます。(理科、ことば、音楽、科学生活、図画)
第3課 動物が子に栄養をやったり世話をしたりする特別な方法について学びます。(ことば、図画、算数、家族生活、理科、保健体育)
小学校6年生
「影響は続いていく」
この単元の課題は、栄養の授業や、麻薬・アルコール・タバコ予防教育に続けて学習することを想定しています。健康や栄養の観点から、今自分がしていることが将来にも影響を与えるということを生徒が自覚できるように作成されています。
第1課「自分と赤ちゃんのために食べる」(図画、家政科、保健、栄養)
第2課、第3課、第5課「私の赤ちゃんに絶対に麻薬はあげない」(保健、理科、国語、図画)
第5課「母乳のほうがいい?」(国語、保健、理科)
第6課、第7課、第8課「気をつけよう」(理科、算数、保健、国語)