―アネリス・アレイン氏(IBFAN-乳児用食品国際行動ネットワーク)
アネリス・アレイン氏は、IBFANについてや、母乳育児を阻害する企業の行き過ぎたマーケティングの実態について報告されました。
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IBFAN -International Baby Food Action Network(乳児用食品国際行動ネットワーク)とは
世界的な団体
粉ミルクのみならず乳児用の食物すべてに関して活動するネットワーク
1979設立 24年間活動を続けている
人工乳に関する国際規準を監視する機構を作った
IBFANの役割
・Advocacy(支援)
・Capacity building 体制作り 政府に理解してもらうように
・Awanees raising 関心を広げる メディア・パンフレットなど
情報を分け合うこと
ネスレ(世界シェアの40%)ボイコットのようなカンパニーキャンペーンの調節
トップ→ダウンでは何も育たない ひとつのネットワークとして協力しあう!
増大する企業の力
企業のスキャンダル、公害、9/11、などの問題に目をそむけることはできない
世界には暗い力(Dark force)があり母乳育児に対抗する
HIVなどの問題を使って人工乳を勧めようとしている
食物の安全保障・・・赤ちゃんが母乳によって育つことから始まる
世界を支配する3つのもの
1.政府
2.企業
3.市民
この20年間国連が主導して企業を監視するシステムができた
1980年代の監視機構
↓
1990年代弱くなってきた
国連多国籍企業、監視の閉鎖→弱体化
2000年~ 自由貿易のパートナーシップが強調され、それは母乳育児を犠牲にしている
世界で約20の多国籍企業が乳児用粉ミルクの販売に関わっている
彼らのマーケティング方法は・・・
1.インターネット(どの政府も中止させることができない)
2.企業が病院へ人工乳を無償提供する
病院では母乳育児の指導をするより人工乳を与えた方が簡単
!! 台湾 1人の赤ちゃんに人工乳を与えると25ドル台湾ドルを企業からもらえる
!! カナダ ミージョンソン社の製品を使うと、赤ちゃん1人につき45カナダドルをもらえる
!! カンボジア 「母乳が出るようになるまで」1回分ずつの人工乳が無償で与えられている
パッケージに印刷してある会社(デンマーク)の名前を売り込むため
こんな事を続けていれば、そのうち母乳は出なくなってしまう
豊かな国には多くのものを与え、貧しい国には少しだけ(一回分ずつ)与える
その目的は「どのように消費者の心をつかむか?」
家庭に贈られるもの
・無料の製品提供(試供品)
・ポスター、冊子、カレンダー、ステッカーなど
※日本で明治乳業の2003年カレンダーを見た
マレーシアではハイウェーでの掲示板
新しい商品の紹介 妊娠中から商業活動として取り組む
・赤ちゃんと妊婦用のミルク(「このミルクを飲むと赤ちゃんがより健康になります」)
・お母さん向けのクラブを作った(会費無料・試供品のプレゼント)
お母さんになる人が母乳育児をするために特別な粉ミルクを飲む必要があるのか?
→母乳育児の価値を下げる
WHO コード →販売促進を規制
WHOコードができたときは妊婦用の粉ミルクなど存在しなかった
今やフォローアップミルクと妊婦用粉ミルクが同じ販路で流通している
粉ミルクの市場はどんどん拡大している
乳児用食品の世界市場
2001年 170億USドル(うち64%が粉ミルク) 2005年には17%増えて200億USドルへ
真実を隠す企業のPR 「当社は国際規準を守っている」と言う
何故たくさんのPRが行われているのか?
企業~国連のシステムに入り込みたいという目的である
正確な情報を記した様々な美しいリーフレットがある。これらは効果的だ
☆母乳育児支援 経済的には制度がある
WHOコードは、もちろん日本でも正当なものとして紹介されている
決して途上国だけに適応なものではない
雪印・明治・森永のことも資料にある
企業の活動について最新の情報をとらえておく必要がある
企業は公私のパートナーシップを作る
国連における企業のパートナーシップ(Global Compact)
4つの致命的欠陥
1.会社を間違っている
2.間違った関係
3.間違ったイメージ(bluewashing)国連の「青」を基調とした宣伝をする会社が出てくる
4.監視や強制がない
企業から自由な国連に向けて
※People’s organization は脆弱
※国連は人々の側に立って発言しなくてはならず、企業の代弁者となるべきではない
IBFANはネスレに対して「最も国連に取り入ろうとする最悪の嘘つき企業」として表彰した
GAIN(よりよい栄養のための世界連盟)
WHOの内部にはない・企業活動ではない だれが支持を与えているのかも分からない
WHOが何の発言もできない
だれがお金を出しているのか→
ビル・ゲイツ(Microsoft)、クラフト(フィリップモリス社に参加)、ハインツ(規準違反で有名)、ロシュ(栄養食品で処罰)
※ホルモンを与えた牛 以前の25%以上生乳を増産
※遺伝子組み換え(操作)
→ハーマン ドリー・・・人間のタンパク質(ライリザイム、ラクトフェリン)を作り出せる初めての牛
会社の宣伝「これは新しい! 改良されている」
↓
動物を間違ったやり方で操作している(遺伝子操作)
人々にショックを与えるために作ったポスター(8つの乳首をもった女性が授乳しているイラスト)
→現状に気づいてやめさせる目的
遺伝子操作した食品が出回る
Ex.トウモロコシ→アフリカに提供している
飢饉の時に「遺伝子組み換え食品はいらない」と断ることは難しい
クローンの問題 人工的母乳・人工的子宮を作ることができるかもしれない
世界には様々な薬品があり、効果がわからないものもある
お金がある人のために「健康になる薬」が作られる
病気への対処をなされない
・記憶力を高める
・神経を疲れさせない →これらの薬がどういう役割を果たすか
1960年代 新しい技術 SEXしても子どもを生まない
1990年代 SEXしなくても子どもを持つことができる
10年後はどうなるか? 親のいない子どももでてくるかもしれない 母乳育児はどういう意味を持つのか?
→少々ショックな話題かもしれない
「新製品」とはどういうものなのか よく見てほしい
日本の企業が国内で・国際社会で何をしているのか
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★城所氏(乳児用粉ミルク問題を考える会)の発言
乳業会社のポリシー
→森永砒素ミルク事件・雪印食中毒事件・雪印食品偽装事件に表れるように、すべてに営利が優先される
今後「乳児用粉ミルク問題を考える会」では、法制化を考えるなどしていきたい
城所氏はこれらの話を大学で講義している
文責:本セミナー情報発信チーム